書いてあること
- 主な読者:予算管理を自社に取り入れたい、あるいはしっかり取り組みたい経営者
- 課題:予算と予測の違いがあやふやで、現場の担当者でも明確にその違いを答えられない人も多い
- 解決策:予算は「こうなりたい」という目標、予測は「こうなるだろう」という見込みである
1 予算と予測の違いを正確に答えられますか?
管理会計における「予測」という言葉を聞いたことはありますか。また、何のための数値なのか正確に答えられますか。
実は、予測を作っている担当者でも、十分に答えられる方はそう多くありません。なぜなら、実務の中では予測は漠然としていて、位置づけが難しいものだからです。この点を理解した上で、予測について、予算との違いも含めて考えていきましょう。
予算が「こうなりたい」という目標(理想や期待を含めた数値)
であるのに対し、
予測は「こうなるだろう」という見込み(現実的な数値)
です。そのため、予算と予測は一致するとは限りません。
期が進むと実績が出てきますが、一般的に実績は予算とずれてきます。このため予算(目標)を達成するためには、予測(見込み)を明らかにしなければなりません。予算(目標)と予測(見込み)の数値にズレがあれば、目標達成に向けて先の行動計画を変更することとなります。
具体的に3月決算の会社を例に、半期予測について考えてみましょう。
まずは、4月から9月までの月次決算の実績を出します。さらに、この時点の最新情報をもとに、10月から翌3月までの売上や利益を予測します。
これらの実績と予測を足し合わせると年度の予測の数値を出すことができます。この予測と年度初めに立てた予算を比較して、年度の予算と半期の予測との間にどれくらいの差があるのかを計算することができます。これをもとに、予算が達成できるように残り半年の行動を修正していきます。
ちなみに、4月から6月までの実績が出た時点で行う予測を第1四半期時点予測(1Q時点予測)、12月までの実績が出た時点で行う予測を第3四半期時点予測(3Q時点予測)といい、より頻度を増やして予測と予算のズレを把握する会社もあります。
2 予算(目標)と予測(見込み)の使い分け
予測は日々刻々と変化していきます。年度が始まり時間が経過するにつれて不確定要素は減り、
より現実的な年度の着地見込みが見えてくる
のです。ここに予測を作成する意味があります。
決算直前になって予算(目標)と予測(見込み)に差がある場合だと、挽回が難しいかもしれませんが、半年たったあたりであれば、残り半年の行動を変えていけば予算達成が望めるということもあります。やはり、早めに「予算(目標)」と「予測(見込み)」のズレを把握することが大事になります。
これを、わかりやすくダイエットを例にして考えてみましょう。「現在体重は60キロ。6カ月後の年末までに55キロ(5キロ減量)にする」という目標を立てたとします。
目標を達成するためには、具体的な計画(運動やジムに通うことで3キロ、食事制限で2キロ減量するなど)や、進捗管理(1カ月ごとの体重把握など)も重要です。
ダイエットスタートから1カ月後で、0.7キロ減量の実績が出たとします。このペースを維持した場合の年末の見込みは0.7キロ×6カ月で、最終的に4.2キロ減量なので、55.8キロとなり、目標が達成できないことが明らかになります。
そこで、翌月以降からは0.9キロ減量できるように行動計画(ダイエット内容)を変更し、目標達成を目指します。例えば、運動の量を増やします。そうすると年末の見込みは、0.9キロ×残り5か月(=4.5キロ)で、最終的に5.2キロ(最初の月の0.7キロ+4.5キロ)減量なので、54.8キロとなり、目標が達成できます。
予算管理でいえば、最初に立てた目標が予算に当たり、1カ月ごとの実績を加味した上での見込みが予測に当たります。ダイエットの例と同様、1カ月置きに予測(見込み)を見直した上で、定期的に予算(目標)と予測(見込み)のズレを把握し、予算(目標)を達成できるよう行動を修正していきます。
3 修正予算はあくまで予算、予測とは別物です
予測の説明をすると、「予測は修正した予算のことでしょうか」という質問を受けることがあります。結論から言うと、
予測と修正予算は全くの別物
です。
予算は達成したい目標なので、期の初めに立てた予算は一度決めたら変えないことが原則です。しかし、会社が置かれている状況に大きな変化があった場合には、予算を変えざるを得ません。例えば、急激な円安の進行や会社の方向性が変わったというような場合には、もとの予算を目標とし続けることは、むしろ無意味になってしまいます。
このような場合には、なるべく早く予算を修正して、それを新しい目標とします。その上で、従業員に対して新たな予算について、変更点やその背景などを含めて伝える必要があります。この新たな予算が「修正予算」と呼ばれるものです。
このため、修正予算は期の初めに立てた予算と同類であり、予算は目標という位置づけですので、修正予算も目標に当たります。
やはり、理想や期待を込めたものであり、現実的な数値である予測(見込み」とは異なります。修正予算と予測が混同されがちなのは、年度の途中で作成される共通点があるためですが、その性質は大きく異なる点は意識するようにしましょう。
以上(2024年9月作成)
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