目次
1 賃上げ促進税制の廃止時期と控除率の変更
従業員の給与等(給与所得に該当する給与、賞与など)を前年度より一定以上増やした場合に、税額控除を受けられる賃上げ促進税制について、会社規模(中小企業・中堅企業・大企業)ごとに、廃止の時期や控除詳細の変更が行われます。

また、
教育訓練費を一定以上増やすと受けられる控除率の上乗せ措置(最大10%)の廃止
も盛り込まれています(廃止時期については、税制改正大綱に記載なし)。
2 特定生産性向上設備等投資促進税制の新設
青色申告を提出している法人が、国から「生産性向上につながる」と認められた一定の設備を取得した場合に、
- その投資額の全額を損金に算入できる即時償却
- 税額控除(7%)
のいずれかを選択できる制度(特定生産性向上設備等投資促進税制)が新設されます。なお、税額控除における控除税額は法人税額の20%を上限とし、もし上限を超過した控除税額があるときは、3年間繰り越しが可能です。
この制度は、業種を問わず適用できますが、
- 2029年3月31日までに、設備投資の内容について計画書を作成し、産業競争力強化法に基づく国の確認を受ける
- 確認を受けた日から5年以内に、その設備を実際に取得し、事業で使い始める
必要があります。その他の主な要件は次の通りです。

3 中小企業技術基盤強化税制の延長と繰越税額控除の導入
中小企業向けの研究開発支援策の1つである、
中小企業技術基盤強化税制(税額控除の特例と控除税額の上限の上乗せ特例)の適用期限が、3年間延長
されます。この制度は、研究開発投資を行った法人が、その事業年度に損金に算入する試験研究費の一定割合(12~17%)の金額を税額控除できるというものです。
また、一時的な赤字などでその事業年度に税額控除の恩恵を受けられなかった場合でも、
控除限度超過額を3年間繰り越すことができる「繰越税額控除」が新たに導入
されます。
4 少額減価償却資産の特例の対象となる取得価額の引き上げ
少額の備品などを購入した際、即時に全額を損金に算入できる少額減価償却資産について、
対象になる取得価額が40万円未満(改正前は30万円未満)に引き上げ
られます。また、引き上げの他に、
- 事業年度終了の日において常時使用する従業員の数が400人以下(改正前は500人以下)の法人は適用対象外
- 適用期限が3年間延長され、2029年3月31日までの間に購入して事業のために使用したものが対象
になります。
なお、令和8年度税制改正大綱には、上限額変更の記載はないため、年間300万円の上限に変更はないとみられます。
5 インボイス経過措置による控除率の縮小幅と期間の変更
インボイスが発行できない免税事業者(あるいは適格請求書発行事業者の登録をしていない事業者)からの仕入れについては、原則控除が受けられません。
しかし、制度導入直後の急激な税負担の増加などの影響を避けるため、導入後の数年間は、インボイスが発行できない事業者からの仕入れでも、一定額の控除を受けられる経過措置(インボイス経過措置)が設けられています。その控除率について、2026年10月1日より段階的に縮小され、最終的にはなくなりますが、今回の税制改正により、その縮小幅の変更と廃止までの期間が延長され、次のようになります。
- 2023年10月1日〜2026年9月30日:仕入れにかかる消費税額の80%まで控除可
- 2026年10月1日〜2028年9月30日:仕入れにかかる消費税額の70%まで控除可
- 2028年10月1日〜2030年9月30日:仕入れにかかる消費税額の50%まで控除可
- 2030年10月1日〜2031年9月30日:仕入れにかかる消費税額の30%まで控除可
- 2031年10月1日~:控除不可
6 インボイス3割特例の創設(小規模個人事業者のみ対象)
免税事業者がインボイス制度の導入を機に、課税事業者を選択した場合、納税額を、売上に係る消費税の2割とする制度(インボイス2割特例)が、2026年9月30日に廃止されます。今回の税制改正により、
小規模個人事業者限定で、納税額を、売上に係る消費税の3割とする制度(インボイス3割特例)
が創設されます(2年間の経過措置)。なお、今回創設されるインボイス3割特例は、
法人は対象外
であるため、2割特例を受けていた法人は、2026年10月1日以後は、従前通り、本則課税または簡易課税の方法で消費税の納税額を計算しなければなりません。
以上(2026年1月作成)
(執筆 南青山税理士法人 税理士 窪田博行)
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