書いてあること
- 主な読者:簿記の基本をマスターしたい新入社員
- 課題:社会人としての基本である会社のお金の流れを理解したい
- 解決策:会計特有の減価償却という考え方や会計上の取り扱いを解説
1 減価償却費と減価償却累計額
建物、構築物、機械装置、器具備品、車両運搬具などの固定資産は数年以上にわたって使用できるので、購入時の一時の費用とせず、減価償却によって数年以上にわたり費用計上します。一方、土地は固定資産として資産計上するものの、減価(使うほどに価値が減少)するものではないので減価償却はしません。
減価償却費は営業費用の一部として損益計算書に費用計上されます。減価償却累計額は、土地を除く固定資産の減価償却費の累計額です。固定資産(償却資産)取得価額から減価償却累計額を差し引いた価額が、償却資産の未償却残高(帳簿価額)となります。
- 減価償却累計額=各年度の減価償却額を足し合わせたもの
- 償却資産の未償却残高=資産の取得価額-減価償却累計額
この記事では「定額法償却」について簡単に説明します。
2 定額法による減価償却
1)定額法による減価償却の例
機械装置を100万円で取得し、耐用年数10年で償却するものとします。定額法による減価償却費は次のように求めます。
- 各年度の減価償却費=取得価額/耐用年数
この場合、各年度の減価償却費は10万(100万円/10年)で一定です。また、減価償却費、減価償却累計額、未償却残高は次のように推移します。資産は備忘価額1円を残して、10年間で99万9999円を償却します。
減価償却累計額は、原則的には貸借対照表の有形固定資産を間接的に減額する評価勘定として表示されます。また、減価償却費は損益計算において営業費用として処理されます。
各年度の仕訳は次の通りです。
2)貸借対照表における有形固定資産と減価償却累計額の表示方法
有形固定資産は、減価償却累計額を科目別間接控除方式で記載します。ただし、それを資産勘定から直接減額する直接控除方式で記載することもできます。この場合は、減価償却累計額を注記しなければなりません。減価償却累計額は、2以上の科目につき一括して記載することもできます。
3 償却資産の仕訳例
1)建物の取得と除却
当社の会計期間は4月1日~3月31日、XX01年4月1日に建物6000万円を取得し、小切手で支払いました。建物の耐用年数は20年、償却方法は定額法とします。
2)機械装置の取得と買い換え
当社の会計期間は4月1日~3月31日、XX01年4月1日に機械装置200万円を購入し、小切手で支払いました。機械装置の耐用年数は5年、償却方法は定率法、償却率は0.4とします。
以上(2023年7月更新)
(監修 税理士 谷澤佳彦)
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