書いてあること
- 主な読者:パートタイマー用の就業規則の見直しを検討している経営者
- 課題:パートタイマーによって働き方が異なり、どう就業規則を定めるべきか分からない
- 解決策:画一的に決められる労働条件は就業規則で、それ以外は労働契約で定める
1 就業規則と労働契約の使い分けが重要
正社員よりも労働時間の短い社員のことを、一般的に「パートタイマー」といいます。ただ、
- 正社員の補助として働くのか、その人にしかできない専門的な業務に従事するのか
- 契約期間の定めがあるのか、ないのか
- 社会保険の被保険者となるのか、ならないのか
など、ひとえにパートタイマーといっても、さまざまな違いがあります。通常、労働条件は「就業規則」か「労働契約」で定めますが、
- 就業規則は、原則として規程の対象者全員に効力が及ぶため、働き方の異なるパートタイマーが多いと、その違いに対応しきれない
- 労働契約は、パートタイマーごとに個別の労働条件を設定できるが、労働条件のばらつきが大きくなると、統率がしにくくなる
という問題があります。これを解決するには、
画一的に決められる労働条件は就業規則で定め、それ以外は労働契約で定める
のがポイントです。
なお、2024年4月1日からは、パートタイマーと労働契約を締結する際、
- 有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限
- 無期転換申込機会と無期転換後の労働条件(通算契約期間が5年を超える有期労働契約を締結した場合)
を新たに明示する必要があります。こちらも、画一的に決められる労働条件については、確実に就業規則に定めておきましょう。
次章では、パートタイマー用の就業規則のひな型を紹介します。ここまでの内容を踏まえた上で、自社の就業規則の見直しにご活用ください。
2 パートタイマー用就業規則のひな型
以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容は異なってきます。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。
【パートタイマー用就業規則のひな型】
第1章 総則
第1条(目的)
この就業規則(以下「本規則」)は、株式会社○○○○(以下「会社」)の従業員の労働条件、服務規律、その他就業に関して必要な事項について定めたものである。会社と従業員は本規則を遵守し、会社の発展に寄与するものとする。なお、本規則に定めのない事項は、労働基準法およびその他の関係法令によるものとする。
第2条(適用範囲および均衡待遇)
1)本規則の適用を受ける従業員は、第5条および第6条の手続きを経て、会社と期間に定めのある労働契約を交わした従業員で、1週間の所定労働時間が一般の従業員よりも短い短時間勤務従業員(以下「パートタイマー」)とする。
2)会社は、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」を遵守し、パートタイマーの待遇を就業の実態から判断して決定するものとし、一般の従業員との均衡を図るよう努めるものとする。
3)本規則に規定する「無期労働契約への転換」によって無期労働契約に転換したパートタイマーについては、転換後も本規則を適用とする。
第3条(労働契約の期間等)
1)会社は、労働契約の締結に当たって期間の定めをする場合には、3年(満60歳以上のパートタイマーとの契約については5年)の範囲内で、契約時に本人の希望を考慮の上各人別に決定し、別紙の労働条件通知書で示す。
2)当該契約について更新する場合またはしない場合の判断の基準は、次の通りとする(あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く)。
- 契約期間満了時の業務量
- パートタイマーの勤務成績、態度
- パートタイマーの能力および従事している業務の進捗状況
- パートタイマーの健康状態
- 会社の経営状況
- その他、会社が指定する書類
3)労働契約の締結時と更新時に、有期労働契約の通算契約期間または更新回数の上限を労働条件通知書で示す。
第4条(労働条件の明示)
1)会社は、パートタイマーとの労働契約の締結に際し、労働契約書を取り交わすとともに、労働条件通知書および本規則(付属する諸規程等を含む)を交付し、就業場所、従事すべき業務、労働時間、賃金、退職、その他の労働条件を明示する。
2)前項の明示事項の他、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律に基づき、契約更新の基準(更新上限)、昇給の有無、退職手当の有無、賞与の有無、有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口についても、労働条件通知書に記載し、あわせて明示するものとする。
3)第1項の労働条件通知書は、当該パートタイマーが希望する場合、メール、SNS等により送ることができる。
第2章 採用、異動
第5条(採用の手続き)
会社は、就職を希望する者の中で、次の各号に定める書類を提出した者の中から、面接その他一定の選考試験により採用者を決定する。会社はパートタイマーを採用するに当たり、労働契約の締結時、あるいは労働契約の更新時に、その後労働契約を更新する可能性があるか否かをパートタイマーに書面により通知する。ただし、状況により、会社はその一部の書類の提出を求めないことがある。
- 履歴書
- 職歴のある者については職務経歴書
- 写真(提出日前3カ月以内に撮影したもの)
- 会社が指定した資格証明書のコピー
- 在留カードのコピー(在留資格を有する外国人のみ)
- その他、会社が指定する書類
第6条(採用時の提出書類)
1)パートタイマーとして採用された者は、採用日から2週間以内に次の各号に定める書類を提出しなければならない。ただし、状況により、会社はその一部の書類の提出を求めないことがある。
- 誓約書
- 身元保証書
- 住民票記載事項証明書。個人番号(マイナンバー)が記載されているものの場合は、第8号の書類を提出する必要はない
- 通勤経路図
- 入社の年に給与所得があった者については、源泉徴収票(甲欄適用者のみ)
- 給与所得の扶養控除等(異動)申告書(甲欄適用者のみ)
- 基礎年金番号が確認できる書類(基礎年金番号通知書など、社会保険に加入する場合のみ)のコピー、雇用保険被保険者証(職歴のある者、雇用保険に加入する場合のみ)
- 個人番号(マイナンバー)カードの表裏面の写し、または個人番号(マイナンバー)の通知カードの写し。なお、個人番号(マイナンバー)カードの表裏面の写しの場合は、第9号の書類を提出する必要はない
- 自動車運転免許証または旅券の写し(有効期間内のもので、顔写真、氏名、住所、生年月日が分かるもの。ただし、交付されている場合に限る)
- 健康診断書(提出日前3カ月以内に受けたもの)(労働安全衛生法および関係規則の定めに該当する場合)
- 他社で雇用されている者については、他社の労働条件等が分かる書類
- その他、会社が指定する書類
2)前項の提出書類の記載内容に変更があったときは、速やかに所属長に届け出なければならない。
3)会社は、第1項の提出書類を人事労務に関する手続きおよび人事労務管理のために利用するものとし、その他のために利用する場合にはパートタイマーから同意を得るものとする。
4)前各項の規定にかかわらず、個人番号(マイナンバー)および個人番号(マイナンバー)をその内容に含む個人情報(以下「特定個人情報等」)の利用目的や取り扱いは、別途定める「マイナンバー(特定個人情報)取扱規程」(省略)によるものとする。
第7条(試用期間)
1)採用日から2週間を試用期間とし、業務の適性などを総合的に判断し、本採用の有無を決定する。この決定は試用期間の途中または満了日に行う。会社が適当と認めたときは試用期間を短縮または延長することがある。なお、延長の場合は2週間の範囲内とする。
2)前項の試用期間内に業務の適性が認められないと判断される場合には、当該労働契約期間で終了となる。
第3章 服務規律
第8条(服務規律の基本原則)
パートタイマーは、会社の指揮命令に従い、職務上の責任を自覚し、互いに協力して誠実に職務を遂行するとともに、職場の秩序の維持に努めなければならない。
第9条(服務心得)
1)パートタイマーは、次の各号に定める事項を遵守しなければならない。
- 勤務中は誠実に業務に励み、正当な理由なく無断欠勤および遅刻、早退、私用外出等をしないこと
- 許可なく業務以外の目的で会社の施設、物品などを使用しないこと
- 職務に関して自己の利益を図り、または他より不当に金品を借用し、もしくは贈与を受けるなど不正な行為をしないこと
- 整理整頓を徹底し、清潔な職場を心掛けること
- 日ごろから健康管理を怠ることなく、健康を保持すること
- 会社の一員としての自覚と品位を持ち、会社の名誉または信用を傷つける行為をしないこと
- 酒気を帯びて就業したり、自動車を運転したりしないこと
- 勤務中に、職務上の必要がないにもかかわらず電子メールやSNSを私的に利用しないこと。また、職務と関係のないウェブサイトを閲覧したりしないこと
- 他の者の業務を妨げないこと
- 他の者の就業環境を害さないこと
- 業務上の都合により、担当業務の変更または他の部署への応援を命ぜられた場合は、正当な理由なく拒まないこと
- 会社の許可なく、会社の文書類または物品を社外の者に交付、提示しないこと
- その他、職場の風紀・秩序を乱す行為をしないこと
2)パートタイマーが会社施設内において政治活動、宗教活動、集会、演説、放送をし、または文書の配布、掲示をしようとする場合は、事前に会社の許可を受けなければならない。
第10条(機密保持)
パートタイマーは、自己の担当であるか否かを問わず、業務上知り得た機密を第三者に開示または漏洩もしくは自らのために利用してはならない。退職後も同様とする。
第11条(ハラスメントの禁止)
全てのパートタイマーは、国籍、信条、性別、性的指向、性自認、職務上の地位・権限・職権、雇用形態に関係なく、職場において相手の人格や尊厳を尊重し、ハラスメント(セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント、パワーハラスメントなど)並びにそれらと疑われる行為をしてはならない。ハラスメントの防止については別途定める「ハラスメント防止規程」(省略)によるものとする。
第4章 労働時間、休憩、休日・休暇
第12条(労働時間および休憩)
1)パートタイマーの労働時間は1日6時間以内とする。始業および終業の時刻並びに休憩時間は次の通りとし、各人別に定める。ただし、パートタイマーの都合により以下の労働時間により難い場合は、個別の労働契約で定める。
2)前項にかかわらず、業務の都合その他、やむを得ない事情により始業および終業の時刻並びに休憩時間を変更することがある。ただし、1日の労働時間は6時間を超えないようにする。
第13条(休憩時間の自由)
パートタイマーは、休憩時間を自由に使用することができる。
第14条(出勤、退社)
1)パートタイマーは、始業時刻に所定の方法に従ってその時刻を記録しなければならない。
2)退社は終業時刻に自己の管理する物品を整理整頓した後、所定の方法に従ってその時刻を記録しなければならない。
第15条(遅刻、早退、欠勤)
1)パートタイマーは、遅刻、早退、欠勤しようとするときは、その前日までに所属長の承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない事由により事前に所属長の承認を得ることが困難な場合は、当日の始業時刻までに電話などにより連絡し、出勤後に速やかに承認を得なければならない。
2)私傷病による欠勤が連続して3日を超える場合、会社はパートタイマーに医師の診断書などの提出を求めることがある。
第16条(私用外出)
勤務時間中に私用による外出を希望するパートタイマーは、あらかじめ所属長の承認を得なければならない。
第17条(公民の権利)
パートタイマーが、選挙権の行使や裁判員としての職権行使その他、公民としての権利を行使するために必要な時間を請求するときは、会社は公民権行使に必要な時間を与えるものとする。ただし、業務上の理由により、権利の行使を妨げない限度においてパートタイマーが請求した時間を変更することがある。
第18条(年次有給休暇)
1)会社は、6カ月以上継続勤務し、所定労働日の80%以上出勤したパートタイマーに対して、次の表の通り勤続期間に応じた日数の年次有給休暇を付与する。この休暇期間中については、所定労働時間を労働した場合に支払われる通常の賃金を支払う。
2)年次有給休暇を付与する基準日は、入社日から起算して6カ月が経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日とする。
3)年次有給休暇を請求するパートタイマーは、原則として3日前までに所属長に、別に定める「年次有給休暇の取得願」(省略)を提出しなければならない。
4)年次有給休暇は、原則としてパートタイマーが指定した時季に付与する。ただし、事業の正常な運営に支障があるときは、会社はパートタイマーの指定した時季を変更することがある。
5)会社は、労働基準法第39条第7項に基づき、第1項の付与日数が10日以上のパートタイマーに対して、時季を指定して年次有給休暇を付与することがある。
6)第1項の出勤率の算定に当たっては、年次有給休暇を取得した期間、産前産後の休業期間、育児休業期間、介護休業期間および業務上の傷病による休業期間は出勤したものとして取り扱う。ただし、育児休業および介護休業については、パートタイマーがこれを取得する権利を有し、現に取得した場合に限る。
7)年次有給休暇は、権利発生から2年の間において取得することができる。
第19条(休日)
1)休日は次の各号に定める通りとする。
- シフトで定める休日
- 国民の祝日
- 会社創立記念日(○月○日)
- 年末年始(原則として12月30日から1月3日までの5日間)
- その他、会社が指定する日
2)休日は1週間を通じ、1日を下回ることはない。
第20条(時間外労働、休日労働、深夜労働)
1)会社は、原則としてパートタイマーに時間外労働、休日労働、深夜労働(午後10時から午前5時までの間の労働。以降、同じ)を命じることはない。ただし、業務上必要がある場合は、時間外労働、休日労働、深夜労働を命じる場合がある。
2)法定労働時間を超える時間外労働および休日労働は、従業員の過半数を代表する者との労使協定の範囲とする。
3)第2項に定める時間外労働および休日労働は、労働基準法およびその他の関係法令における時間外労働および休日労働の上限を超えることはない。
第21条(災害など非常時の特別措置)
火災・地震・暴風雨・洪水、設備の爆発などの事故、感染症の流行その他避けることのできない事由により臨時の労働の必要がある場合は、会社は第20条にかかわらず労働基準監督署の許可を受けて、妊娠中および産後1年を経過しない女性パートタイマー(以下「妊産婦」)を除く全てのパートタイマーに時間外労働、休日労働、深夜労働を命じることがある。
第22条(産前産後の休業)
1)6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性パートタイマーから請求があったときは、産前休暇を与える。
2)産後8週間を経過しない女性パートタイマーは就業させない。ただし、産後6週間を経過した女性パートタイマーが請求した場合において、当該女性パートタイマーについて医師が支障ないと認めた業務に就かせることができる。
3)前各項の休業期間は無給とする。
4)妊娠中の女性パートタイマーが請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させる。ただし、業務に適する軽易な業務がないときには請求しても応じないことがある。
第23条(母性健康管理のための時間内通院)
1)妊産婦が母子保健法に定める健康診査または保健指導を受けるために請求した場合、会社は次の各号に定める範囲において母性健康管理のため、時間内通院を認める。
- 妊娠23週までは4週間に1回
- 妊娠24週から35週までは2週間に1回
- 妊娠36週以後出産までは1週間に1回
- 医師または助産師が、前各号と異なる指示をしたときは、その指示により必要な時間
2)母性健康管理のため勤務していない時間は無給とする。
第24条(通勤緩和)
1)妊産婦が通勤による心身の負担を軽減するために請求した場合、会社は出社時および退社時について、各々30分の遅出および早退を認める。
2)通勤緩和の時間は無給とする。
第25条(疲労回復のための休憩)
1)妊産婦が業務による疲労回復のために請求した場合、会社は第12条第1項の他に適宜休憩をとることを認める。
2)業務による疲労回復のための休憩は無給とする。
第26条(医師などの指導による措置)
1)妊産婦が医師などから勤務状態が健康に支障を及ぼすとの指導を受けた場合であって、妊産婦より申し出があった場合は、会社は当該妊産婦の意見を聴いた上で、次の各号に定める措置を講じる。
- 担当業務の変更
- 心身の負担が小さいと会社が認める業務への転換
- 所定労働時間の短縮
- 休業
2)前項第4号の休業は無給とする。
3)所定労働時間の短縮の適用を受ける期間については、第5章の定めに基づく基本給を時間換算した額を基礎とした実労働時間分の基本給を支給する。
第27条(育児時間)
1)生後満1年に満たない生児を育てる女性パートタイマーは、あらかじめ所属長に申し出て、勤務時間中に1日について2回、1回につき少なくとも30分の育児時間を受けることができる。
2)前項にかかわらず、1日の労働時間が4時間以内のパートタイマーは、1日について1回の育児時間とする。
3)育児時間は無給とする。
第28条(生理日の休暇)
1)生理日の就業が著しく困難な女性パートタイマーから請求があったときは、必要な期間の生理日の休暇を与える。
2)生理日の休暇は無給とする。
第29条(育児休業および介護休業)
会社は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」に基づき、育児休業および介護休業、その他の両立支援策を講じる。育児休業および介護休業、その他の両立支援策については、別途定める「育児休業等に関する規程」(省略)および「介護休業等に関する規程」(省略)によるものとする。
第30条(特別休暇)
1)家族の慶弔など、特別の事情が生じた場合は、パートタイマーの請求により会社が認める日数の慶弔休暇を与えることがある。
2)特別休暇は無給とする。
第5章 賃金、賞与、退職金
第31条(賃金体系および賃金形態)
1)賃金は基本給、通勤手当および割増賃金とする。
1.基本給
パートタイマーの経験や職務内容などを総合的に考慮し、労働契約において決定するものとする。
2.通勤手当
最短かつ最適な通勤経路が片道1キロメートル以上のパートタイマーに対して、本人の申請により実費を支払う。ただし、月額1万円を上限とする。
3.割増賃金
a.法定労働時間を超える労働に対し、基本給(時給)の25%を加算して支払う。
b.法定休日の労働に対し、基本給(時給)の35%を加算して支払う。
c.深夜労働に対し、基本給(時給)の25%を加算して支払う。
2)賃金の形態は時給制とする。
第32条(賃金の計算期間、支払日)
賃金の計算期間は、前月1日より前月末日までとし、当月△△日に支払う。ただし、支払日が休日に当たるときは、その前日に支払う。
第33条(休業手当)
会社の責に帰すべき事由によりパートタイマーが休業した場合、休業1日につき労働基準法に基づき算出した平均賃金の60%を支払う。
第34条(不就労時の取り扱い)
パートタイマーが早退、遅刻などにより、所定労働時間の全部または一部を休業した場合は、その時間に相当する基本給は支払わない。
第35条(賃金の支払方法)
賃金はパートタイマーに対して、直接、通貨をもって支払う。ただし、パートタイマーが希望した場合は、当該パートタイマーが指定する金融機関口座への振り込みにより賃金を支払うことができる。
第36条(賃金の控除)
賃金支払いの際、次の各号に定めるものは控除することができる。
- 源泉所得税
- 住民税
- 社会・労働保険の被保険者負担分の保険料
- 従業員の過半数を代表する者との書面により協定されたもの
第37条(臨時および非常時払い)
会社は次の各号に該当する場合、第32条にかかわらず既往の労働に対する賃金を支払う。
- パートタイマーが死亡または退職した場合において、本人または遺族の請求があったときは、7日以内に既往の労働に対する賃金を支払う。パートタイマーの遺族の範囲は労働基準法施行規則第42条から第45条によるものとする
- パートタイマーまたはパートタイマーの収入により生計を維持する者から出産、疾病、災害、その他非常の場合の費用に充当するために請求があったときは、既往の労働に対する賃金を支払う
第38条(昇給)
昇給は会社の業績および本人の技能、勤務成績、勤務態度等を勘案の上、原則として労働契約の更新時に行うものとする。なお、昇給を行わない場合もある。
第39条(昇給の対象者)
昇給は、入社から3カ月以上勤務しているパートタイマーを対象とする。
第40条(賞与)
賞与の支給については、パートタイマーの経験や職務内容などを総合的に考慮し、労働契約において決定する。
第41条(退職金)
退職金の支給については、パートタイマーの経験や職務内容などを総合的に考慮し、労働契約において決定する。
第6章 退職、解雇
第42条(雇い止め)
労働契約の期間が満了し、これを更新しないこととなったときは、会社は少なくとも期間満了の30日前までにパートタイマーに雇い止めの予告をする。パートタイマーが雇い止めの理由に関する証明書の交付を請求した場合は、会社は雇い止めの予告の前後を問わず、遅滞なくこれを交付するものとする。
第43条(退職)
1)パートタイマーが次の各号のいずれかに該当する場合は、次の各号に定める日を退職の日とする。
- 契約期間が満了したとき:契約期間の満了日
- 死亡したとき:死亡した日
- パートタイマーが自己の都合により退職を申し出て、会社がこれを承認したとき:会社が退職日として承認した日
- パートタイマーが届け出および連絡なく欠勤を続け、その欠勤期間が1カ月を超え、所在が不明のとき:欠勤期間が1カ月を経過した日
- 第64条の規定により無期労働契約に転換したパートタイマーが定年に達したとき:定年に達した日の属する月の末日
2)自己の都合により退職を申し出るパートタイマーは、退職希望日の14日前までに、総務部に別途定める「退職願」(省略)を提出しなければならない。会社の承認を受けるまでの間、パートタイマーは従前の業務に従事しなければならない。
第44条(普通解雇)
会社は、パートタイマーが次の各号のいずれかに該当した場合に解雇することがある。
- 勤務成績または業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できないなど、就業に適さないと認められたとき
- 勤務状況が著しく不良で、改善の見込みがなく、パートタイマーとしての職責を果たし得ないと認められたとき
- 業務上の負傷または疾病による療養の開始後3年を経過した日において、パートタイマーが労働者災害補償保険法に基づく傷病補償年金を受けているとき、または受けることとなったとき(労働基準法に基づく打切補償を支払った場合または労働者災害補償保険法に基づく打切補償を支払ったとみなされる場合を含む)
- 精神または身体の障害については、適正な雇用管理を行い、雇用の継続に配慮してもなおその障害により業務に耐えられないと認められたとき
- 事業の運営上のやむを得ない事情または天災事変その他これに準ずるやむを得ない事情により、事業の継続が困難となったとき
- 事業の運営上のやむを得ない事情または天災事変その他これに準ずるやむを得ない事情により、事業の縮小・転換または部門の閉鎖などを行う必要が生じ、他の職務に転換させることが困難なとき
- 試用期間における作業能率または勤務態度が著しく不良でパートタイマーとして不適格であると判断されたとき
- その他、前各号に準ずるやむを得ない事由があるとき
第45条(解雇予告)
パートタイマーを解雇する場合、会社は労働基準法に基づき30日前に予告をするか、または予告に代えて平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、労働基準監督署長の認定を受けた場合、および次の各号のいずれかに該当するパートタイマーを解雇する場合はこの限りではない。
- 日雇いのパートタイマー。ただし、1カ月を超えて引き続き雇用されるパートタイマーを除く
- 2カ月以内の期間を定めて使用するパートタイマー。ただし、その期間を超えて引き続き雇用されるパートタイマーを除く
- 試用期間中のパートタイマー。ただし、14日を超えて引き続き雇用されるパートタイマーを除く
第46条(解雇理由の証明書)
会社は、解雇するパートタイマーから請求があった場合は、解雇の理由を記載した証明書を交付する。
第47条(解雇の制限)
会社は、次の各号に定める期間中はパートタイマーを解雇しない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合で労働基準監督署長の認定を受けた場合は除く。
- 業務上の負傷または疾病により欠勤する期間、およびその後30日間。ただし、業務上の負傷または疾病による療養の開始から3年を経過しても傷病が治癒せず、労働基準法に基づく打切補償を支払った場合または労働者災害補償保険法に基づく打切補償を支払ったとみなされる場合はこの限りではない
- 産前産後の休業期間およびその後30日間
第48条(退職または解雇時の義務)
1)退職または解雇されたパートタイマーは、会社の指示する期間内に速やかに後任者に業務の引き継ぎを行わなければならない。
2)退職または解雇されたパートタイマーは、身分証明書、社員記章など会社からの貸与品を直ちに返納しなければならない。また、会社に債務のあるときは退職または解雇の日までに完済しなければならない。
3)退職または解雇されたパートタイマーは、退職または解雇の日以後、在職中に知り得た業務上の機密事項を他に漏らしてはならない。
第7章 賞罰
第49条(表彰)
パートタイマーが次の各号のいずれかに該当する場合は、会社はその都度審査の上で表彰することがある。表彰は賞状の他、賞品または賞金を授与して行う。
- 業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の業績に貢献したとき
- 品行方正で業務熱心であり、従業員の模範とするに足りるとき
- 事故や災害などを未然に防止し、または非常事態に際し適切に対応し、被害を最小限にとどめるなどの功労が顕著であったとき
- 社会的な功績があり、会社および従業員の名誉となったとき
- その他、表彰に値する善行または功績があると会社が判断したとき
第50条(懲戒の種類)
懲戒はその情状により、次の各号の区分に従って行う。
1.けん責
始末書を提出させ、将来を戒める。
2.減給
始末書を提出させ、減給する。減給は1回の額が平均賃金の1日分の50%を超えることはなく、また減給の総額が第32条に定める一つの賃金の計算期間における賃金総額の10%を超えることはない。
3.出勤停止
始末書を提出させ、出勤停止を命ずる。出勤停止は7日間を限度とし、その間は無給とする。
4.降格
始末書を提出させ、降格する。
5.諭旨解雇
退職願の提出を勧告する。ただし、応じない場合は懲戒解雇に処する。
6.懲戒解雇
即時に解雇する。
第51条(懲戒の事由)
会社は、パートタイマーが次の各号のいずれかに該当する場合は、その程度に応じて、けん責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇に処する。
- 就業規則、社内規程、通達に違反したとき
- 正当な理由なく、無断で欠勤、遅刻、早退を繰り返したとき
- 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき
- 正当な理由なく、無断でしばしば職場を離れたとき
- 職務、勤務に関する諸手続きを怠り、または不正に偽ったとき
- 素行不良で、会社内の秩序または風紀を乱したとき
- 会社を誹謗(ひぼう)中傷し、または虚偽の風説を流布・宣伝したとき
- 会社に所属する個人の名誉・信用を傷つけたとき
- 性的な言動によって他人に不快な思いをさせたり、職場の環境を悪化させたりしたとき。または、性的な関心を示したり、性的な行為をしかけたりして、他の従業員の業務に支障を与えたとき
- 妊娠・出産・育児に関する不適切な言動により、他人に精神的・身体的な苦痛を与えたり、また他の従業員に不利益を与えたりして、就業環境を害したとき
- 職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景とした不適切な言動により、他人に精神的・身体的な苦痛を与えたり、また他の従業員に不利益を与えたりして、就業環境を害したとき
- 業務上知り得た機密を、不正に第三者に開示または漏洩もしくは自らのために利用したとき
- 重要な経歴を詐称して雇用されたとき
- その他、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったと会社が判断したとき
第52条(懲戒解雇)
1)会社は、パートタイマーが次の各号のいずれかに該当する場合は懲戒解雇に処する。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、諭旨解雇または降格にとどめることがある。
- 重要な経歴を詐称して雇用されたとき
- 正当な理由なく無断欠勤が14日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき
- 正当な理由なく無断で遅刻、早退または欠勤を繰り返し、再三にわたって注意を受けても改めなかったとき
- 故意または重大な過失により、会社に重大な損害を与えたとき
- 会社内において刑法その他刑罰法規の各規程に違反する行為をし、その犯罪事実が明らかとなったとき
- 素行不良で、著しく会社内の秩序または風紀を乱したとき
- 数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度などに関し、改善の見込みがないと認められたとき
- 相手方の望まない性的言動により、円滑な職務遂行を妨げ、就業環境を悪化させ、またはその性的言動に対する相手方の対応によって、一定の不利益を与えるような行為をしたとき
- 職務上の立場を利用して交際や性的な関係を強要したとき
- 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品などを使用し、会社に損害を与えたとき
- 会社における職務上の地位を利用して私利を図り、または取引先などより不当な金品を受け、もしくは求め、または供応を受けたとき
- 私生活上の非違行為や会社に対する誹謗中傷などによって会社の名誉・信用を傷つけ、業務に重大な悪影響を及ぼすような行為があったとき
- 会社の業務上重要な機密を外部に漏洩して会社に損害を与え、または業務の正常な運営を阻害したとき
- 酒気帯び、あるいは酒酔いの状態で自動車を運転したとき
- 特定個人情報等を不正に取得、利用、提供したとき
- 非違行為に対し、再三の注意、指導を受けたにもかかわらず、なお改悛(かいしゅん)の見込みがないとき
- 前条に準ずる行為において、その情状等に悪質性があると判断される場合
- その他、前各号に準ずる程度の不都合な行為があったと会社が判断したとき
2)会社は、諭旨解雇または懲戒解雇事由に該当し、実際に諭旨解雇または懲戒解雇になるおそれがあるパートタイマーに対し、原則として事前に弁明の機会を与える。
第8章 安全衛生
第53条(安全衛生の遵守事項)
会社は、パートタイマーの安全衛生の確保および改善を図り、快適な職場の形成のため必要な措置を講ずる。職場の安全衛生については、別途定める「安全衛生管理規程」(省略)によるものとする。
第54条(就業禁止)
1)会社は、次の各号のいずれかに該当するパートタイマーの就業を禁止する。
- 病毒伝ぱのおそれのある伝染病の疾病に罹患した者
- 心臓、腎臓、肺などの疾病で労働のため病勢が著しく増悪するおそれがある疾病に罹患した者
- 前各号に準ずる疾病で厚生労働大臣が定めるものおよび感染症法等で定める疾病に罹患した者
2)会社は、前項の定めにより就業を禁止しようとするときは、あらかじめ、会社が指定する医師の意見を聴くものとする。また、パートタイマーは、第1項に該当するおそれがあるときは、直ちに会社に届け出なければならない。
3)第1項の定めにより就業を禁止された期間は、無給とする。
第55条(健康診断)
1)会社は、常時雇用されるパートタイマーであって、週所定労働時間が一般の従業員の4分の3以上である者に対し、入社時および毎年1回定期的に健康診断を行う。
2)会社は、前項の健康診断の結果を本人に速やかに通知する。結果に異常の所見があり、会社が必要と認めるときは、就業の禁止、配置の転換、その他必要な措置を命ずることがある。
第56条(医師による面接指導の実施)
1)会社は、第20条の時間外労働および休日労働の合計が1カ月当たり80時間を超えたパートタイマーから申し出があった場合には、医師の面接指導を受けさせるものとする。
2)前項の他、労働安全衛生法およびその他の関係法令において必要とされる場合、医師が必要と認めた場合、会社が必要と判断した場合等において、面接指導を実施することがある。
第9章 災害補償
第57条(災害補償)
パートタイマーが業務上の事由または通勤途中に負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合の災害補償や保険給付については、別途定める「災害補償規程」(省略)によるものとする。
第10章 個人情報の取り扱い
第58条(パートタイマー個人情報の取り扱い)
1)会社は、適正な雇用管理を行うために必要な範囲において、パートタイマーおよびその家族から適正な方法で入手した情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。以下「パートタイマー個人情報」)を利用し、または法令の範囲内において第三者に開示する。
2)前項にかかわらず、特定個人情報等の取り扱いは、別途定める「マイナンバー(特定個人情報)取扱規程」(省略)によるものとする。
第59条(パートタイマー個人情報の管理責任者)
パートタイマー個人情報の管理責任者は総務部長とする。
第60条(パートタイマー個人情報の開示請求)
1)パートタイマーは、会社に対して自らのパートタイマー個人情報の開示を求めることができる。
2)会社は、パートタイマーからパートタイマー個人情報の開示を求められたときは、速やかにこれを開示する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、パートタイマー個人情報の全部または一部の開示を拒否することができる。
- 法令に違反することとなる場合
- 本人または第三者の生命、身体または財産の保護のために必要がある場合
- 雇用管理に重大な支障を来すおそれがある場合
3)パートタイマー個人情報が開示された結果、当該パートタイマー個人情報に誤りがあることが判明した場合、会社は当該パートタイマーに通知し、同意を得た上でパートタイマー個人情報を修正する。
第61条(パートタイマーが退職などをした際のパートタイマー個人情報の取り扱い)
退職などの事由により、会社とパートタイマーの雇用関係が消滅した場合、会社は法令で定められている期間において、当該パートタイマーのパートタイマー個人情報を管理し、その後は検証可能な方法による完全な廃棄処分を行う。
第62条(顧客個人情報の取り扱い)
1)会社が保有するパートタイマー個人情報以外の情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述などにより、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む)を「顧客個人情報」という。
2)パートタイマーは、別途定める「個人情報保護規程」(省略)を遵守して、適切に顧客個人情報を利用しなければならない。
第11章 一般の従業員への転換など
第63条(一般の従業員への転換)
1)1年以上勤続し、一般の従業員への転換を希望するパートタイマーについては、次の各号の要件を満たす場合、一般の従業員として採用し、労働契約を締結するものとする。
- 1日8時間、1週40時間の勤務ができること
- 筆記試験および面接試験に合格すること
- 所属長の推薦があること
2)第18条で定める年次有給休暇の付与日数の算定において、パートタイマーとしての勤続年数を通算する。
3)一般の従業員に転換する場合の転換時期は、毎年○月○日とする。
第64条(無期労働契約への転換)
1)通算契約期間が5年を超えるパートタイマーは、別途定める「無期労働契約転換申込書」で申し込むことにより、現在締結している有期労働契約の契約期間の末日の翌日から、無期パートタイマーでの雇用に転換することができる。
2)前項の無期転換の申し込みは、原則として、現在の労働契約期間が満了する1カ月前までに行うものとする。
3)第1項の通算契約期間は、2013年4月1日以降に開始した有期労働契約の契約期間を通算するものとし、現在締結している有期労働契約については、その末日までの期間とする。ただし、労働契約が締結されていない期間が連続して6カ月以上あるパートタイマーについては、それ以前の契約期間は通算契約期間に含めない。なお、労働契約が締結されていない期間以前の通算契約期間が1年未満の場合に当該契約期間の通算の可否については、労働契約法およびその他の関係法令に従うものとする。
4)この規則に定める労働条件は、第1項の規定により期間の定めのない労働契約での雇用に転換した後も引き続き適用する。
5)無期労働契約へ転換したパートタイマーに係る定年は、満60歳とする。ただし、満60歳を超えて無期労働契約へ転換したパートタイマーの定年は満65歳とする。
6)無期労働契約へ転換したパートタイマーで定年を迎えた者が希望し、解雇事由または退職事由に該当しないときは、会社が別途定める「労働条件」(省略)により満65歳まで継続雇用する。なお、前項ただし書きのパートタイマーに対する定年後の継続雇用については、都度決定をする。
第12章 雑則
第65条(福利厚生)
パートタイマーは、一般の従業員と同様に福利厚生施設を利用することができる。
第66条(教育訓練)
会社は、職務遂行に必要な能力を付与・向上させるための教育訓練について、一般の従業員と同様にパートタイマーにも実施する。
第67条(損害賠償)
パートタイマーが故意または過失によって会社に損害を与えた場合、会社はその全部または一部の賠償を求めることがある。パートタイマーの退職後に、その者の行為が故意または過失によって会社に与えた損害の原因であると判明した場合も、その損害の全部または一部の賠償を求めることがある。
第68条(改廃)
本規則の改廃は、取締役会において行うものとする。
附則
本規則は、○年○月○日より実施する。
■無期労働契約転換申込書■
以上(2024年2月更新)
(監修 ひらの社会保険労務士事務所)
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