1 「参謀2.0」を考える。なぜ、経営者には参謀が必要なのか?

いかに優れた経営者でも、1人でできることには限界があります。だからこそ、

自分とは違う視点で物事を捉えてくれる、時には「それは違うんじゃないですか?」と諫めてくれる「参謀」

の存在が欠かせないのです。

ここ数年で参謀の在り方も変わってきました。例えば、新規事業を立ち上げる際、コアとなる人物(参謀)を業務委託で外部から招聘(しょうへい)するケース、金融機関がDX参謀などとして、会社を強力にサポートするケースなどが出てきています。

  • 参謀は社内の人材に限らず、外部から招くこともできる
  • 特定分野に強い「ジョブ型参謀」を組み合わせて活用してもいい

というわけです。以降ではこの流れを踏まえて、経営者が参謀を獲得する上で押さえておきたい重要な視点を紹介します。

2 「内部×外部」で化学反応を起こす!

参謀は誰にでも務まるものではないので、選定や育成にはどうしても時間がかかります。とはいえ、経営者が使える時間は限られています。それに、経営者自身が参謀を育てると、どうしても考え方が似通ってしまい、「違う角度から見てくれる」という参謀の大事な役割が薄れてしまいます。

もし、御社が参謀の育成に困っているなら、参謀を「業務委託で外部から招聘する」のも一策です。実際、こうして参謀を獲得し、事業を成功に導いている経営者は数多くいます。

とはいえ、単に業務委託として使うだけだと、その参謀との契約が終わった後は何も残りません。ですから、

社内の参謀候補と外部から招聘した参謀とでチームをつくり、社内の参謀候補に新しい知見を吸収させること

が重要です。

これには別の意味もあります。外部から参謀が招聘されると、自社の参謀候補は面白くありません。しかし、一緒にチームを組ませれば、参謀候補は「経営者は自分に期待してくれているんだな」と自信を持てるわけです。

3 「ジョブ型」参謀はすでに存在する

経営者に「経営に必要な能力は?」と質問すれば、「人間力」「判断力」「リーダーシップ」などの答えが返ってくるでしょう。ですが、これではかなり抽象的です。具体的に掘り下げていくと、経営者の仕事は本当に幅広くて、実にさまざまな能力が必要なことが分かります。そして、経営者を支える参謀にも、同じように多様な力が求められます。

ただ、何もかもに精通した「オールマイティーな参謀」は、そうそういるものではありません。ですから、考え方を少し変えて

「ジョブ型参謀」のチームを意識してみましょう。「DXであればA参謀」「採用教育であればB参謀」といった具合

です。例えば、顧問税理士は、税務会計における社外参謀といえますが、DXには明るくないかもしれません。こういう場合は、別の分野で専門的な知見を持つ参謀を獲得し、組み合わせればよいのです。

また、参謀は必ずしも管理職クラス(部長や課長など)である必要はありません。通常の社員の中にも、経営者の目が届かないところで、コツコツと勉強を重ねている人がいます。気付けば、ある分野では社内の誰よりも詳しくなっている、なんてことも珍しくありません。そうした社員は、自分の得意とする分野において、ジョブ型参謀としての役割を立派に果たしてくれるでしょう。

4 参謀リーダーという考え方

参謀が複数いる場合、参謀を束ねる「参謀リーダー」がいると意見がまとまりやすくなります。この参謀リーダーは、DXや税務会計などに明るくなくても大丈夫です。むしろ必要なのは

コミュニケーション能力が高くて、いい意味で経営者をうまく使える器

です。次のような資質を持った人が、参謀リーダーに向いています。

1)イエスマンにも反対勢力にもならない

参謀リーダーは、経営者が喜びそうな意見をまとめる「イエスマン」ではありません。さまざまな情報に触れ、必要なら経営者に対し、「それ、ちょっと待った方がいいかもしれません」と異を唱えられる立場でなければなりません。

ただし、経営者を見下したり、反対勢力になったりすることは絶対にありません。敬意を持ちながらも、言うべきことは言える、そんな絶妙なバランス感覚が求められます。

2)現場(社員)の声を吸い上げる

経営者は現場の声を聞こうとしますが、社員の方は正直なところ、経営者に率直な意見を言うのをためらいがちです。特に悪い情報ほど、なかなか経営者の耳には届きません。

参謀リーダーは、経営者の目となり耳となって、普段は把握しにくい社内の本音や雰囲気をキャッチし、適切なタイミングで伝える必要があります。特に、経営方針に不満を持っている社員や、辞めそうな社員の動きには要注意です。

3)経営者の代弁者となる

経営者は社員に向けて、いろんなメッセージを発信します。理念を語ったり、新しい施策の内容や狙いを説明したり……。

ですが正直、多くの社員にとって、「社長が何を言いたいのか」を正確に理解するのは難しいものです。そこで、参謀リーダーが経営者の通訳役になって、メッセージの真意を分かりやすく伝えることが大切です。これで組織の一体感が高まり、施策の浸透度もグッと上がります

4)経営者をうまく使う

経営者でなければ対処できない課題があります。例えば、大事な交渉が行き詰まったときに、経営者が直接出ていくことで流れが変わることがあります。

参謀リーダーには、いつも経営者を頼るのではなく、「ここぞ!」という場面で、いい意味で経営者をうまく使って、物事を有利に進める器用さが求められます。経営者の時間と影響力を最大限に活かす「プロデューサー」のような役割です。

以上(2026年1月更新)

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画像:Trickster*-Adobe Stock

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