書いてあること

  • 主な読者:最新法令に対応し、運営上で無理のない会社規程のひな型が欲しい経営者、実務担当者
  • 課題:法令改正へのキャッチアップが難しい。また、内規として運用してきたが法的に適切か判断が難しい
  • 解決策:弁護士や社会保険労務士、公認会計士などの専門家が監修したひな型を利用する

1 慶弔見舞金規程とは

慶弔見舞金規程とは、従業員の慶弔事の祝金・弔慰金や、従業員が病気や天災・火災などの災害に見舞われたときなどの見舞金の支給について定めるものです。一般的には慶弔見舞金規程を定める際のポイントとして、次の2点が挙げられます。

1)支給する額を明示する

祝金は全従業員一律にし、弔慰金は職位ごとに支給する額を決めておくのが一般的ですが、企業によっては祝金の支給額を勤続年数によって区分する場合もあります。また、従業員本人の死亡時の弔慰金について、業務上の死亡と業務外の死亡で支給額に差をつけることもあります。

労務行政研究所『労政時報』第3934号(17.7.28)の「慶弔見舞金の支給実態」(2017年1~3月調査)によると、本人死亡弔慰金の支給水準は次の通りです。

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2)支給する際のルールを明示する

慶弔見舞金規程で明示するルールとしては、例えば、次のようなものが挙げられます。

  • 従業員同士が結婚する際の結婚祝金、夫婦ともに同じ会社で勤務している場合にどちらかの父母などが亡くなった場合の弔慰金など、支給事由に該当する従業員が2名以上の場合の取り扱い
  • 従業員が行う申請のルール

この他、弔事の場合は、弔事についての連絡、通夜や告別式の参列・手伝いなどについてルールを定めることがあります。次章の慶弔見舞金規程のひな型では紹介していませんが、企業の規模によってはこうしたルールを定めておいてもよいでしょう。

2 慶弔見舞金規程のひな型

以降で紹介するひな型は一般的な事項をまとめたものであり、個々の企業によって定めるべき内容が異なってきます。特に、弔慰金などの金額については、企業の規模・業種・保険加入の有無などによって異なることに注意が必要です。実際にこうした規程を作成する際は、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。

【慶弔見舞金規程のひな型】

第1条(目的)
本規程は、従業員(短時間勤務従業員を除く)とその家族の慶弔、被災および従業員の傷病などを事由に支給する祝金・弔慰金・見舞金(以下「慶弔見舞金」)について定める。

第2条(慶弔見舞金の種類)
慶弔見舞金の種類は次の通りとする。
  1.慶事:結婚祝金、家族結婚祝金、出産祝金。
  2.弔事:弔慰金。
  3.見舞:傷病見舞金、災害見舞金。

第3条(重複支給の制限)
同一世帯2名以上の従業員が、本規程による慶弔見舞金の同一の支給事由に該当する場合、多額の金額に該当する従業員1名に対して慶弔見舞金を支給する。

第4条(届出)
従業員が本規程の慶弔見舞金の支給を受けようとするときは、別途定める「慶弔見舞金申請書」(省略)を総務部に届け出なければならない。なお、会社は、「慶弔見舞金申請書」と共に、必要最小限度の各種証明書の提出を求めることがある。

第5条(結婚祝金および家族結婚祝金)
1)従業員が結婚した場合は、次の結婚祝金を支給する。
  結婚祝金:2万円。
2)既に会社から結婚祝金の支給を受けたことがある従業員が再度結婚した場合は、第5条第1項に定める額の50%を支給する。
3)従業員の子女が結婚した場合は、次の結婚祝金を支給する。
  家族結婚祝金:1万円。

第6条(出産祝金)
1)従業員またはその家族が子を出産した場合は次の出産祝金を支給する。
  ・第1子:1万円。
  ・第2子以降:1万5000円。
2)双子以上の場合は人数に応じた金額とする。

第7条(弔慰金)
従業員またはその家族が死亡した場合は別表第1「弔慰金」に定める弔慰金を支給する。なお、従業員本人が死亡した場合は、民法における相続権者に対し相続順位に基づいて支給する。

第8条(弔電・祝電)
従業員またはその家族が死亡した場合は弔電、結婚した場合は祝電を会社より発信する。

第9条(供花)
従業員またはその家族が死亡した場合は生花または花輪を会社より贈る。ただし、生花または花輪に代え、供花料1万円を贈ることができる。

第10条(傷病見舞金)
従業員が、業務上または業務外の傷病により出勤できないときは、別表第2「傷病見舞金」に定める傷病見舞金を支給するものとし、その期間は暦によって計算する。

第11条(災害見舞金)
従業員が、火災・風水害・地震などの不測の災害により、本人が居住する住宅が損失を被ったときは、別表第3「災害見舞金」に定める災害見舞金を支給する。

第12条(社会保険制度との関係)
本規程の慶弔見舞金は、労働者災害補償保険法、健康保険法、その他社会保険制度に基づく給付とは関係なく支給する。

第13条(改廃)
本規程の改廃は、取締役会において行うものとする。

附則
本規程は、○年○月○日より実施する。

■別表第1「弔慰金」■

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■別表第2「傷病見舞金」■

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■別表第3「災害見舞金」■

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以上(2018年10月)

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画像:ESB Professional-shutterstock

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