書いてあること
- 主な読者:福利厚生の導入や見直しを検討している経営者
- 課題:社員のニーズは千差万別。自社単独でメニューを充実させるのは難しい
- 解決策:アウトソーシングで定番をカバー。独自のメニューも検討する
1 住宅手当のない福利厚生には満足できない?
働き方改革が進み、働く時間や場所は随分と様変わりしました。柔軟な働き方ができる会社を社員は歓迎し、採用の際も有利になります。これと同様に、福利厚生に対する社員の期待も高いのですが、中小企業が単独で充実したメニューを取りそろえるのは困難です。そこでご提案したいのが、次の3つのメニュー群を整備する方法です。
- ニーズの高いものは確実に対応:住宅手当や家賃補助など
- できれば独自のメニューを構築:「自転車通勤」手当など健康経営に関連するもの
- その他の定番は手間とコストをかけずに対応:福利厚生のアウトソーシングを利用
まず、1.ニーズの高いものですが、これはいつの時代でも、
社員が直接的に金銭的なメリットを得られるもの
が人気で、代表的なのは住宅手当や家賃補助です。福利厚生や諸手当の見直しで、確実に対応しないと不満足つながります。これと関連して、2.独自のメニューを構築する場合、ここでは会社の方針が重要となります。例えば、健康経営を進めたい意向があれば、「自転車通勤」手当などを導入します。
最後に、3.その他の定番です。ここが最も悩ましいところです。社員のニーズは千差万別なため独自で対応するのは困難です。そこで検討したいのが、アウトソーシングの利用です。これは、
「アウトソーサー」と呼ばれる事業者に入会金と会費を支払って、福利厚生の運用を委託するサービス
です。定番のメニューはそろっていますし、運営も代行してくれるので、
中小企業は手軽に充実した福利厚生を実現
することができます。
2 福利厚生のアウトソーシングとは?
1)大手はメニューが豊富
アウトソーサーの大手には、次のようなところがあります。会員数は2022年1月時点の各社ウェブサイトに掲載されているものです。
- ベネフィット・ワン:約1011万人
- リロクラブ:638万人以上
- イーウェル:407万人超
- リソルライフサポート:約210万人
大手が提供する福利厚生のメニューには以下のようなものがあります。一般的なメニューは揃っていると思ってよいでしょう。
- 旅行・レジャー関連:旅行ツアー、ホテルや交通機関などの手配など
- キャリアアップ関連:資格取得講座などを割安で利用
- 医療、育児・介護関連:人間ドック、家事代行、ベビーシッター、介護サービスなど
2)パッケージプランとカフェテリアプラン
アウトソーサーが提供するプランは、パッケージプランとカフェテリアプランとに大別されます。
- パッケージプラン:社員はパッケージで提供されている全てのメニューを利用できる。利用回数などに制限はない。事務作業も料金に含まれている
- カフェテリアプラン:社員は自分の好みでメニューを選択する。あらかじめ社員に付与したポイントの範囲内で利用できる。事務作業は会社負担だが、有料でアウトソーサーに任せることも可能
パッケージプランはメニューが豊富で会社側の負担は軽いものの、社員のニーズに合わないメニューも含まれているため、無駄が生じがちです。
一方、カフェテリアプランはあらかじめメニューを絞り込むため、社員のニーズが比較的明確な場合に適しています。ただし、事務作業などをアウトソーシングする場合は別途コストが必要です。
3)費用の目安
条件によって異なりますが、一つの目安として東京商工会議所のCLUB CCI「バフェプラン」の費用を紹介します。
- 入会金:0円
- 基本料金:1100円×社員数(月間)
- 初年度の合計:39万6000円(1100円×30人×12カ月)
- 5年間の合計:198万円(39万6000円×5年)
一般的に費用には松竹梅のようなランクがあり、基本料金が高いほどメニューが豊富で、サービス利用時の割引率も高くなります。
3 (参考)福利厚生費に関するデータ
最後に、福利厚生の見直しの参考となるように、福利厚生費に関するデータを紹介します。
1)福利厚生費などの推移
福利厚生費などの推移は次の通りです。
2)法定外福利費の内訳
法定外福利費の項目別内訳の推移は次の通りです。
以上(2022年2月)
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画像:pixabay