書いてあること
- 主な読者:電話応対に自信がなく、プレッシャーを感じている新入社員
- 課題:電話応対は面倒なルールが多いし、固定電話のボタンの意味も分からない
- 解決策:新入社員の電話応対は、ほとんどが誰かに取り次ぐだけ。心配ご無用!
Ri Ri Ri Ri Ri! ゲゲっ、また電話だ。早く出なきゃ。しかしなんで電話ってこんなに緊張するのかな。商品名や取引先の名前を覚えていないからなのか、本当に聞き取りにくい。それに会社の電話ってボタンが多いから、保留にしたり、転送したりするときにめっちゃ緊張する。電話と敬語のコンボも相当手ごわい……。
1 なぜ、電話に出る必要があるのか?
チャットやビデオ通話に慣れている皆さんにとって、電話はなじみがないかもしれません。最初は自社の商品名や相手の会社名などもよく覚えていないので、一つひとつの言葉も聞き取りにくいです。さらに電話を難しくさせるのが「敬語」です。分からないなりに丁寧に話そうとすると、かえって変な日本語になってしまうという、「電話×敬語」の最強コンボが皆さんを悩ませます。
こうした事情から、最近は慣れるまで新入社員に電話応対をさせない会社もあります。ここは会社の教育方針によりますが、電話応対で多くを学べることも事実です。具体的には、
- 取り次ぎのために自社の商品名や部署、担当者を覚えられる
- スムーズな受け答えをするため、顧客や取引先の名前を覚えられる
- リアルなビジネストークを、敬語を交えながら体験できる
- ビジネスを進めるための「要件」(時間、個数など)をまとめる技術が身に付く
といった、ビジネスの基礎体力が身に付くのです。ですので、ぜひ、電話応対にチャレンジしてみてほしいです。それに、安心してください。新入社員に限らず電話が苦手な人はたくさんいますし、周囲もしっかりサポートしてくれます!
2 ボタンは多いけど覚える機能は3つだけ
スマホに慣れている皆さんにとって、固定電話(ビジネスフォン)は珍しい形状ですよね。そもそも、大量のボタンが何のためにあるのか分かりません。クルクルのコードでつながった受話器さえ新鮮かもしれません。実際、「電話を取り次ごうとして間違えて電話を切ってしまった」なんていう事故も頻発します。ただ、見た目が複雑でも固定電話で覚えておきたい操作は、
- 電話をかける、電話に出る
- 保留にする
- 転送にする
の3つだけです。これだけ覚えておけば電話応対に支障はありません。あと、「短縮ダイヤル」が設定されているはずなので、それも早く覚えてしまいましょう。
3 電話でよく使う8つの基本フレーズ
固定電話の機能を覚えたら、次は電話応対でよく使うフレーズも把握しましょう。よく使う基本フレーズは次の8つです。
- ありがとうございます(お待たせしました)、◯◯(会社名)でございます
- ○○(取次先=自社内メンバーや部署の名前)でございますね。少々お待ちください
- あいにく○○(取次先の名前)は、本日、リモート勤務となっております。折り返し○○からご連絡させていただいてよろしいでしょうか?
- 少しお電話が遠いようです(電話の相手の声が聞き取りにくいとき)
- もう一度、お名前を教えていただけますか?
- 復唱させていただきます(電話の相手の企業名、氏名、連絡先、要件を復唱するとき)
- ありがとうございます。◯◯(自分の名前)が承りました
- (分かる者に確認して、)折り返しご連絡いたします
最初のうちは自分で処理できる案件は少ないので、基本フレーズの8「(分かる者に確認し、)折り返しご連絡いたします」を多用することになります。焦りから、「分かったふりをしてしまう」ことがありますが、これは一番いけません。分からないことは悪いことではありません。しっかり復習して、次に対応できればよいのです。
また、できれば相手が話していることを、周囲の先輩などにも聞こえるように復唱しましょう。こうして、自分が分かっていないことを周囲に知らせ、「電話をかわります」と先輩に目やしぐさで合図を送るようにしましょう。これがトラブル回避でとても重要なことです。
4 いざ、電話に出る準備!
電話に出たら必ずメモを取ります。焦らないように、デスクの上にメモ帳とペンを用意してください。会社によっては電話応対専用のメモを用意していることもあります。必ずメモを取るのは、
- 電話を受けた日時
- 相手の企業名、所属、氏名
- 電話の要件(聞ける余裕があれば)
- 次のアクション
です。「次のアクション」は先輩に取り次ぐことが基本ですが、該当の先輩が不在の場合は、次のような相手の要望をきちんと聞き、伝言します。
- 急ぎの要件なので、すぐに折り返しの電話が欲しい
- 急ぎではないので、担当者が戻ったら電話が欲しい
- (相手のほうから)改めて電話をする
- 伝言だけ伝えてほしい(あるいは電話があったことだけ伝えてほしい)
5 電話応対は簡単! 好感度アップのポイント
好感度の高い電話応対をするためのポイントは2つだけです。
1つ目は、明るく、ハキハキと話すことです。できれば、普段話しているときよりも少し高めの声で話してください。また、自分の答えに自信がないときほどハッキリと発音するように心がけましょう。また、電話を切るときも「ガチャッ!」と勢いよく受話器をおかず、フックを指で押してそっと切るのがマナーです。
2つ目は、相手を待たせないことです。例えば、「かかってきた電話は2コールとか、3コール以内に取る」などと言われますが、ここは会社のルールに従ってください。また、誰かに取り次ぐときも、保留のまま、あまり待たせるのは良くありません。すぐに取り次ぐことができないときは、「折り返しご連絡いたします」と、一度、電話を切るのがマナーです。
6 電話応対は簡単! 電話の出口は3つ
ここまでいろいろと説明してきましたが、電話応対の出口は、
- 取り次ぎ:先輩などに取り次ぐ電話
- 自己処理:自分で処理する電話
- お断り:お断りをする電話
の3つしかありません。新入社員の場合、自己処理できるケースはほとんどないでしょう。また、お断りはいわゆる電話セールスであり、先輩から「不動産の営業は断っていいからね」などと言われるケースです。電話営業かどうかはすぐ分かりますし、そうであれば「何かあれば、こちらからかけ直します」と電話を切ればOKです。
となると、残るは取り次ぎだけです。つまり、新入社員のうちは、
いかにスムーズに取り次ぐか
を考えていれば問題ないわけです。簡単だと思いませんか?
7 貸与されたスマホをプライベートで使わない
会社からスマホを貸与されるケースもあると思います。貸与されたスマホは会社の備品で、通信費も会社が支払うわけですから、プライベートでは使ってはいけません。また、認められていないアプリをインストールするのもNGです。
リモートワークをしている会社の場合、上司や先輩が近くにいないので不安かもしれません。しかし、基本はこれまで紹介してきた通りです。分からないことは、基本フレーズの8「(分かる者に確認し、)折り返しご連絡いたします」で対応しましょう。
以上(2024年12月更新)
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画像:Mariko Mitsuda