書いてあること

  • 主な読者:飲酒する習慣があるビジネスパーソン
  • 課題:適正な飲酒量が分からず、今のまま飲み続けて将来の健康に影響が出ないか不安。また、飲み過ぎてケガや他人とのトラブルを起こすことは避けたい
  • 解決策:「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」を基に、過度な飲酒が及ぼす影響について知った上で、節度のある適度な飲酒を心がける

1 飲み過ぎはNG 酒は「百薬の長」にも「万病のもと」にも

2024年2月、厚生労働省の検討会が新たにとりまとめた「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(以下「飲酒ガイドライン」)が公表されました。「飲酒ガイドライン」では、年齢・性別・体質によってアルコールが及ぼす身体などへの影響は異なるものの、次のような健康面・行動面のリスクが指摘されています。

  • 長期にわたって大量に飲酒をすることによって、アルコール依存症、生活習慣病、肝疾患、がんなどの疾病が発症しやすくなる
  • 過度なアルコール摂取により運動機能や集中力の低下などが生じ、危険を伴う工具類などの使用や高所での作業で事故が発生する
  • 飲酒後に適切ではない行動をとることでケガや他人とのトラブルが発生したり、所持品を紛失したりする

古くは鎌倉時代末期、吉田兼好が記した随筆「徒然草」にも、

百薬の長とは言へど、よろずの病は酒よりこそ起これ

という記述があります。当時からお酒の飲み過ぎは健康に悪いことが認識されていたわけです。

この記事では、「飲酒ガイドライン」や、厚生労働省が提供する、健康づくり支援担当者のための総合情報サイト「e-健康づくりネット」の掲載情報を基に、過度な飲酒が健康に及ぼす悪影響について押さえた上で、節度のある適度な飲酒の心がけについて紹介します。

2 過度な飲酒とは?

1)まずは純アルコール量に着目

「飲酒ガイドライン」では、単にお酒の量(ml)だけでなく、お酒に含まれる純アルコール量(g)について着目することが重要だとしています。お酒に含まれる純アルコール量の算出式は次の通りです。

摂取量(ml) × アルコール濃度(度数/100)× 0.8(アルコールの比重)

例えば、500mlの缶ビール(アルコール濃度5%)であれば、純アルコール量は、

500(ml) × 0.05 × 0.8 = 20(g)

となります。

2)過度って、どれくらい?

がん、高血圧、脳出血、脂質異常症などのリスクは、飲酒量が増えれば増えるほど上昇し、飲酒量が少ないほどよいことがわかっています。また、死亡(すべての死因を含む)、脳梗塞、虚血性心疾患は、純アルコール摂取量が男性の場合は44g/日程度以上、女性の場合は22g/日程度以上になるとリスクが高まることがわかっています。

飲酒の影響は、年齢・体質によっても個人差がありますが、生活習慣病のリスクを高める純アルコール摂取量として、

  • 男性の場合、1日当たり40g以上
  • 女性の場合、1日当たり20g以上

が示されています(厚生労働省「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針」)。

詳しい解説は次のウェブサイトに掲載されています。ぜひご確認ください。

■厚生労働省「e-健康づくりネット アルコール(男性編)」■
https://e-kennet.mhlw.go.jp/tools_alcohol-male/
■厚生労働省「e-健康づくりネット アルコール(女性編)」■
https://e-kennet.mhlw.go.jp/tools_alcohol-female/

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3 健康に配慮した飲酒の仕方

「飲酒ガイドライン」では、さまざまな危険を避けるために、例えば、次のような配慮をすることを勧めています。改めて確認してみましょう。

1)自らの飲酒状況等を把握する

医師へ相談したり、AUDIT(オーディット。問題のある飲酒をしている人を把握するために世界保健機関(WHO)が作成したスクリーニングテスト)を参考にしたりすることで、自らの飲酒の習慣を把握することが大切です。

AUDITは、10項目の簡易な質問でアルコール関連問題の重症度の測定を行うもので、次の厚生労働省のウェブサイトに邦訳が掲載されています。一度確認してみてください。

■厚生労働省「e-ヘルスネット AUDIT(オーディット)」■
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/alcohol/ya-021.html

2)あらかじめ量を決めて飲酒をする

あらかじめ自ら飲む量を決めておくことで、過度な飲酒を控えるようにするなど、飲酒行動の改善につながります。行事・イベントなどの場で飲酒する場合も、純アルコール量を考慮して飲酒量を調節することが肝要です。

3)すきっ腹で飲酒しない

飲酒前または飲酒中に食事をとることで、血中のアルコール濃度を上がりにくくし、お酒に酔いにくくする効果があると言われています。また、飲酒の合間に水を飲むなど、アルコールをゆっくり分解・吸収できるように工夫することも大切です。

4)一週間のうち、飲酒をしない日を設ける

いわゆる「休肝日」です。毎日飲み続けると、アルコール依存症の発症につながる恐れがあります。

5)避けるべきこと

短時間の多量飲酒は、さまざまな身体疾患の発症や、急性アルコール中毒を引き起こす恐れがあります。

また、他人に無理に飲酒を勧めることはNGです。いわゆる「アルハラ(アルコール・ハラスメント)」に他なりません。

この他、不安や不眠を解消するための飲酒、病気療養中の飲酒、服薬後の飲酒もNGです。また、飲酒運転はもちろん違法ですが、過度ではないからといって飲酒後に危険を伴う行動や不用意な行動をとることは絶対にしてはいけません。

4 参考

■厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」■
https://www.mhlw.go.jp/content/001211944.pdf
■厚生労働省「飲酒ガイドライン作成検討会」■
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-syougai_442921_00002.html

以上

※上記内容は、本文中に特別な断りがない限り、2024年4月4日時点のものであり、将来変更される可能性があります。

※上記内容は、株式会社日本情報マートまたは執筆者が作成したものであり、りそな銀行の見解を示しているものではございません。上記内容に関するお問い合わせなどは、お手数ですが下記の電子メールアドレスあてにご連絡をお願いいたします。

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