QUESTION

たとえ善意であっても過度な叱咤激励を受けた社員が自殺した場合に使用者責任はありますか。

ANSWER

使用者責任を問われる可能性があります。

解説

使用者は、日頃から従業員の業務遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度に蓄積して心身の健康を損なうことのないように注意する義務を負っています。
思い悩んでいる部下がいて、上司が善意から叱咤激励をした場合、それが結果として労働者を追い込み、自殺してしまうケースでは、叱咤激励の方法が過度なもので相当性を欠けば、使用者の責任を問われる可能性があります(※1)。
なぜなら、部下の状態が精神的疾患に罹患したものであることを把握することや自殺について予見できる可能性が肯定されることが多いからです。
最近、このようなケースで、労災が認められる事例が発生しました。労災の給付のための費用を請求される可能性もあります。
また、令和2年6月1日(中小企業は令和4年4月1日)から労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務となります。
職場における「パワーハラスメント」とは職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①~③のすべての要素を満たすものとして定義されました。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.95020

画像:Mariko Mitsuda

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