書いてあること

  • 主な読者:社員の「熱中症」対策を進めたい経営者
  • 課題:「熱中症」対策で効果的なグッズは何があるのかを知りたい
  • 解決策:水分や塩分を補給するグッズ、風を送るグッズなどがある。会社で支給したり、購入費用を補助したりすることで、社員が熱中症になりにくい環境を整える

1 熱中症対策は「予防」が肝心!

テレワークが進んで社員が対面で会うことが減り、会社が社員一人ひとりの健康状態を把握しにくくなってきました。心配はいろいろありますが、「熱中症」もその1つです。社員の健康状態を細かくチェックするのが難しいなら、その予防に重点を置かなければなりません。そのために、例えば次のような「熱中症対策グッズ」を用意することが考えられます。

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熱中症対策グッズは、水分や塩分を補給するもの、冷感を与えるものなどさまざまです。会社で支給したり購入費用を補助したりして、熱中症になりにくい環境を整えるように社員に指示しましょう。この記事では、熱中症対策グッズの具体的な活用方法を紹介していきます。

2 水分や塩分を補給するグッズ

熱中症対策の基本は、こまめな水分補給です。ただし、大量に汗をかいたときは体内の塩分やミネラルも失われるため、水分と併せて塩分の補給も必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ミニ冷蔵庫・カップクーラー

夏場はデスクなどに飲み物を置いていても、すぐにぬるくなってしまいます。こうしたときには、ミニ冷蔵庫・カップクーラーが役立ちます。パソコンなどのUSB端子につなぐと、缶やペットボトル、カップに入った飲み物を保冷することができます。

2)塩分を含む食品

水分を補給する際には、塩こんぶなどの食品や、塩分を含むあめ、タブレットなどの菓子を一緒に食べると塩分も補給できてます。また、スポーツドリンクは水分と塩分を同時に補給できるので便利です。厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」によると、水分を補給する際は、0.1~0.2%の食塩水または飲料100ミリリットル当たり40~80ミリグラムのナトリウムが含まれているものが望ましいとしています。

■厚生労働省「職場における熱中症予防対策マニュアル」(STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)の「関連情報」内にあります)■
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000116133.html

3 風を送るグッズ

風通しが悪い場所では汗が蒸発しにくいので、体温の調節に無効な発汗が増え、脱水状態に陥りやすくなります。空調設備が整った屋内で作業できるのが一番ですが、そうでない場合もあります。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)空調服

腰や脇に小型のファンが付いた服です。長袖のジャケットから袖のないベストまでさまざまな製品があります。専用のウエア、ファン、バッテリーをそろえる必要がありますが、空調服を着ることでエアコンの使えない場所でも涼しく過ごせます。空調服の中に着るインナーは、できるだけ吸汗性、透湿性、速乾性の高いものを選ぶことが重要です。綿などの乾きにくい素材のインナーを着ていると、体が冷えすぎてしまい、逆に体調が悪くなる場合もあるので注意しましょう。

2)扇風機

扇風機というと室内に置く大型のものを想像するかもしれませんが、首に掛けたり、手に持ち歩いたりして使える小型のものもあります。ただし、気温が高く乾燥した環境で扇風機を使うと、汗が体から熱を奪う前に乾いてしまい、体温が上がり続ける恐れがあります。そのため、扇風機を使用する際は、水を霧状に噴射するスプレー、濡れたタオルなどを併せて用意するようにしましょう。

4 冷感を与えるグッズ

首元、わきの下、足の付け根など、太い血管が体の表面近くを通るところを冷やすと、効率良く体温を下げることができます。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)冷却シート

使い捨てのものから繰り返し使えるもの、また、大きさも額に貼るものからクッションサイズのものまでさまざまなタイプがあります。首元、わきの下、足の付け根などに貼ることを考え、小さめの冷却シートを常に携帯しておくと便利です。

2)ネッククーラー

首元を冷やし、体の熱をクールダウンさせるネッククーラーは熱中症対策にも役立ちます。中に保冷剤や冷却ジェルを入れて使うスカーフのようなタイプや、USBで充電などして動く電動のタイプなどさまざまなものがあるので、テレワークや通勤などのシーンに合わせて使いやすいものを選ぶとよいでしょう。

3)ミスト冷房

水を細かい霧状にして噴出する装置です。周辺を水で濡らすことなく冷却できます。屋外や工場で使用する大型のものに限らず、USB端子につないでデスク周りで使える小型の製品もあります。

4)冷感スプレー

衣服やハンカチなどにスプレーをすることで冷感が得られるものです。持ち運びに便利で場所を選ばず、いつでもほてった肌をクールダウンさせることができます。

5)ハッカ油

ハッカ油には冷却作用を持つメントールが多く含まれており、マスクやハンカチなどにスプレーをすることで清涼感を得ることができます。また、ハッカ油に含まれるメントールは消臭、抗菌、虫よけ効果があるとされているので、熱中症対策以外にも役立ちます。

6)接触冷感マスク

マスクを着ける場合、接触冷感の糸を使用したり、ミントやメントールなどの爽やかさを感じる成分を生地に配合したりしたものを使うとよいでしょう。なお、高温多湿の状況でマスクを着けていると、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、喉が渇いていることに気付かなかったりすることから、体温調節がしづらく、熱中症になるリスクが高まります。屋外で人と2メートル以上の十分な距離が確保できる場合や、会話を行わない場合は、マスクを外して休みましょう。

5 危険時に警告して知らせるグッズ

目まいやふらつきなど熱中症の初期症状があっても、社員は「単に疲れているだけ」と誤解して、熱中症の対処が遅れてしまうことがあります。熱中症の危険が高まったことが、客観的に把握できる状況をつくり出すことが必要です。そこで、次のようなグッズを用意しておくとよいでしょう。

1)ウエアラブル端末

リストバンドや腕時計などの機器を体に取り付けて脈拍を測り、熱中症の危険がある場合にアラームやバイブレーションなどで通知します。利用者本人だけでなく、管理者側(社内の健康管理の担当者など)で異常を検知できる製品もあるため、異常を確認した管理者が利用者と連絡を取れば、健康への影響を防ぐ対策を取ることができます。

2)温湿度計・センサー

カバンなどに取り付けたり、屋内に据え置いたりして使用します。屋外で使用する場合、熱中症の危険性はWBGT値(暑さ指数。気温と湿度に加えて、日射や地面からの照り返しによる熱を含めた数値)で測ることができます。このWBGT値を正確に測定するには、黒球が付いた温湿度計を使うのがよいとされています。

3)スマートフォンアプリ

その日の気温、湿度、気象条件などを基に熱中症の危険を通知します。アプリによっては、時間単位や地域を指定して熱中症の危険を確認できます。無料で提供されているものもあります。

以上(2024年6月更新)

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画像:あるぱかこ-Adobe Stock

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