昨今、様々な産業の分野でデジタル化が進む中、その変化にスムーズに対応し、事業やサービスを構築していくことは多くの企業にとって急務であると言えます。
そのためにも時代の流れを見据えて、今後必要とされるスキルや知識を新たに習得する「リスキリング」の取り組みにより、従業員の能力を高度化していくことが求められています。
本稿では、リスキリングが必要な背景、および取り組みを促進していくための進め方についてご紹介して参ります。

1 デジタル化の急速な進展

デジタル技術による業務の自動化は、専門・技術職等の高スキル職や、医療・対個人サービス職等の低スキル職で就業者が増加する一方、製造職や事務職等の中スキル職が減少する「労働市場の両極化」の傾向となっています。

日本における職業別就業者シェアの変化

(経済産業省「未来人材ビジョン」)

このような時代の流れの中、企業が発展していくためには、リスキリングによる従業員のスキルチェンジの実施が重要になります。

2 リスキリングの進め方について

厚生労働省では、職場における学び・学び直しを促進するためにガイドラインを作成しています。それに記載されている労使が取り組むべき事項について、以下にご紹介します。

●学び・学び直しに関する基本認識の共有

①経営者による経営戦略・ビジョンと人材開発の方向性の提示、共有

●能力・スキル等の明確化、学び・学び直しの方向性・目標の共有

②役割の明確化と合わせた職務に必要な能力・スキル等の明確化
③学ぶ意欲の向上に向けた節目ごとのキャリアの棚卸し
④学び・学び直しの方向性・目標の擦り合わせ、共有

●労働者の自律的・主体的な学び・学び直しの機会の確保

⑤学び・学び直しの教育訓練プログラムや教育訓練機会の確保
⑥労働者が相互に学び合う環境の整備

●労働者の自律的・主体的な学び・学び直しを促進するための支援

⑦学び・学び直しのための時間の確保
⑧学び・学び直しのための費用の支援
⑨学びが継続できるような伴走支援

●持続的なキャリア形成につながる学びの実践、評価

⑩身に付けた能力・スキルを発揮することができる実践の場の提供
⑪身に付けた能力・スキルについての適切な評価

●現場のリーダーの役割、企業によるリーダーへの支援

⑫学び・学び直しの場面における、現場のリーダーの役割と取組
⑬現場のリーダーのマネジメント能力の向上・企業による支援

3 さいごに

リスキリングを促進していくためのポイントは、その成果を従業員の「仕事のやりがい」や「給与アップ」「昇進」に結び付けることでしょう。企業は単に学習教材をそろえるだけではなく、「従業員が学んだことを実際にどこで役立てることができるのか」「それがどのように評価されるのか」を明示して、従業員が納得して前向きに取り組めるような環境をつくることが重要です。

※本内容は2022年12月12日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

sj09060
画像:photo-ac

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です