令和6年12月2日から、医療機関や薬局を利用する際、マイナ保険証を使うルールがスタートしました。これに伴い日本年金機構では、企業が提出する「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」の様式を変更しました。全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している企業は、これらの届出の際、注意が必要です。本稿では、様式の変更点などを説明します。

1 基本的なしくみ

マイナ保険証とは、健康保険証として利用登録をしたマイナンバーカードのことです。令和6年12月2日から、医療機関や薬局を利用する際、マイナ保険証を使うことが原則となったことに伴い、企業が行う社会保険の手続きが、少し変わりました。

企業の担当者は、社員が入社した時には「被保険者資格取得届」、従業員に赤ちゃんが生まれるなどして被扶養者が生じた時には「被扶養者(異動)届」を年金事務所に提出します。そうすると、これまでは、協会けんぽに加入している企業に対し健康保険証が送られてきました。しかし、現在、健康保険証は送られてきません。

ただ、マイナンバーカードを持っていない人や、マイナンバーカードを持っていても健康保険証として利用登録していない人に配慮して、協会けんぽが希望者に「資格確認書」を発行しています。資格確認書があれば、マイナンバーカードがなくても、医療機関や薬局を利用できます。

資格確認書は、従来の健康保険証と同じプラスティック製のカードで、色は黄色です。有効期間は、最大で5年となっています。

■資格確認書のイメージ

資格確認書のイメージ

※全国健康保険協会「健康保険証とマイナンバーカードの一体化(マイナ保険証)に関する制度説明資料(令和6年5月)」より

2 発行要否欄

資格確認書の導入に伴って、「被保険者資格取得届」と「被扶養者(異動)届」に、資格確認書の発行要否欄が設けられました。企業の担当者が、資格確認書の発行が必要かどうかを従業員に聞いて、必要であれば、発行要否欄のチェックボックスにチェックを入れます。そうすると、協会けんぽから企業に資格確認書が送られてくるので、従業員に渡してください。

①被保険者資格取得届

被保険者資格取得届

②被扶養者(異動)届

被扶養者(異動)届

※日本年金機構の様式から抜粋

企業は、原則として、新しい届出書を使って手続きを行うことになりますが、やむをえず旧届出書を使う場合には、備考欄に「資格確認書要」と書いて提出してください。なお、旧届出書は、令和7年2月28日までで受付を終了する予定です。

資格確認書が必要であるにもかかわらず、発行要否欄にチェックを入れ忘れた場合でも、協会けんぽが調査して資格確認書を発行してくれます。ただし、発行まで2カ月程度かかるので、注意してください。

また、すでに被保険者、被扶養者となっている人が資格確認書を必要とする場合には、協会けんぽに直接、資格確認書交付申請書を提出すれば、発行してもらえます。

3 さいごに

現在持っている協会けんぽ発行の健康保険証も、最長で令和7年12月1日まで使うことができます。従業員には、早めに、マイナンバーカードを健康保険証として利用登録するよう促すとよいでしょう。

※本内容は2024年12月10日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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