1 改正の概要

労働者が健康を保持しながら、労働以外の生活のための時間を確保して働くことができるよう、1か月60時間を超える法定外時間外労働について、法定割増賃金率が50%に引き上げられました。

中小企業においては、猶予期間が設けられていましたが、令和5年4月1日からは、月60時間を超える時間外労働については、割増賃金率が大企業同様50%に引き上げられたところです。

時間外労働が深夜労働に及んだ場合は75%もの割増賃金を支払う義務が生じるため、長時間労働を余儀なくされている中小企業の場合は、何らかの対策を講じる必要があります。

2 改正後の具体的な内容

(1)月60時間の算出方法

1か月60時間を超える法定時間外労働を算出するには、法定休日労働は含めません。法定休日以外の総労働時間のみで算出します。例えば、法定休日を日曜日と定めた場合、日曜日以外の労働時間のみで算出します。

(2)代替休暇の運用と労使協定

1か月60時間を超える法定時間外労働について、労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金の代わりに有給の代替休暇を与えることができます。

割増賃金の支払を要しないのは、法定割増賃金率の引き上げ分のみですので、これまでと同様、25%までの割増賃金は支払う必要があります。

代替休暇制度導入にあたっては、過半数組合(ない場合は労働者の過半数代表者)との間で労使協定を結ぶ必要がありますが、労働基準監督署に届出する必要はありません。

労使協定を結んでも、代替休暇を取得するかしないかは労働者の自由ですので強制はできません。

労使協定で定める事項は以下の通りです。

① 代替休暇の時間数の具体的な算出方法
② 代替休暇の単位(1日または半日)
③ 代替休暇を与えることができる期間(2か月以内)
④ 代替休暇の取得日の決定方法、割増賃金の支払日

① 代替休暇の時間数の具体的な算出方法

代替休暇の時間数の具体的な算出方法は以下の通りです。

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画像:photo-ac

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