令和4年10月末現在、1,822,725人の外国人が日本で雇用されています(厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況のまとめ」より。)。このうちの422,308人(23.2%)を、在留資格「技能実習」、そして在留資格「特定技能」で占めています。いずれも企業の「現場」で働く、いわゆるブルーカラーの外国人労働者です。

この2つの制度、とりわけ「技能実習制度」では、これまで多くの労務管理上のトラブルが発生しています。ここでは2つの制度の最近の動きや、「企業」そして「外国人労働者」、各々に起因する様々なトラブル事例とその原因、対策等についてご説明します。

1 はじめに ~「技能実習制度」と「特定技能制度」の最近の動き~

(1)外国人技能実習制度

「技能実習」は、我が国の技能・技術・知識を発展途上国に移転させる国際協力を目的とした制度として平成5年に創設されました。技能、技術等の習得段階によって「技能実習1号」(1年目)、「技能実習2号」(2年目~3年目)、そして「技能実習3号」(4年目~5年目)の区分に分かれて在留資格が存在します。なお、「第3号技能実習」は一定の基準を満たす「優良な監理団体」かつ「優良な実習実施者」でのみ実施することができるとされています。

令和4年10月現在、約343千人(18.9%)が技能実習生として働いていますが、同年11月に立ち上がった「外国人技能実習制度および特定技能制度の在り方に関する有識者会議」において、「現行の技能実習制度は廃止し、人材確保・人材育成を目的とした新しい制度を立ち上げる」ことが令和5年5月の中間報告書に明記されました。受入れ企業においては、これまでは多くの場合、原則3年間は自社において働く有期雇用労働者であったものが、今後は

① 同一の受入れ企業等において就労した期間が1年を超えていること
② 技能検定(基礎級)等および日本語能力A1相当以上の試験(日本語能力試験N5等)に合格していること

の2つの条件を満たしている場合、本人の意向による転籍を認める方向で、最終報告書作成に向けて検討が進められています(当分の間、分野によって1年を超える期間の設定を認めるなど、必要な経過措置を設けることも検討)。

ただ、新しい制度ができて直ぐに技能実習を廃止するのではなく「政府は、現行の技能実習制度から新たな制度への移行に当たっては、(中略)、現在も多くの技能実習生が受け入れられているという実態に留意し、移行期間を十分に確保すべきである。」とされる見込みです(注)。

(2)特定技能制度

特定技能制度とは、深刻な人手不足に対応するため、令和元年に制定された、一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人を受け入れる制度です。特に国内で充分な人材が確保できない12分野を「特定産業分野」(介護業、ビルクリーニング業、素形材・産業機械・電気電子部品関連製造業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)とし、現場作業等で雇い入れることができます。なお、在留期間については、特定技能1号は5年を上限に、特定技能2号は上限なく日本に在留することができるとされています(特定技能2号については、要件を満たせば配偶者や子の帯同も可能。)。

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画像:Metamorworks-Adobe Stock

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