1 はじめに

新年度を迎える春は、人事労務担当者の皆さまにとって、1年のなかでも特に手続き業務が増える時期であると思います。その中心となるのが、入社と退社に関する手続きではないでしょうか。

中小企業では、採用計画に沿った人材確保が困難になってきているなか、厚生労働省が2月に公表した最新の人口動態統計速報では、昨年の出生数が720,988人と過去最少を記録しました。今後も少子高齢化による深刻な人手不足の流れが続くと予想され、それを裏付けるように2024年の人手不足倒産は、累計で342件発生したというショッキングなデータを帝国データバンクが公表しています。この数値は、調査開始以降過去最多であり、2年連続で大幅に更新したとされています。

このように、会社の存続にも影響を及ぼしかねない厳しい採用難の時代において、法令遵守のできていない企業に対する求職者からのエントリーは、今後より一層見通しづらくなるでしょう。まずは、皆さまの会社に入社された社員が安心して働き続けられるよう、正しい手続きを適切に行うことで、会社の土台をしっかりと固めていきたいものです。

そこで今回は、適切な手続きについて皆さまとともに確認しながら、この春、特に気を付けておきたいポイントについてもご紹介いたします。

2 入社手続き

(1)採用内定から入社までの流れ

人手不足でエントリー数自体が減少している昨今、これまでよりも選考基準を引き下げざるを得ないという声も聞こえてきています。採用判断の際、業務適性や定着率等を客観的に判断できる資料となり得る適性検査を実施するケースも増えており、当日中に結果が分かるものもありますので導入してみるのもよいでしょう。

さまざまなステップを経て採用内定を決定したあとは、採用内定通知を交付することが多いと思います。書面で採用選考結果を通知するとともに、入社日の案内や、マイナンバー等の提出内容を記載したり、内定誓約書の返送を求めたりするものが一般的です。

内定誓約書は、内定者が就職を承諾するとともに、他社への就職をしない旨を約束させたり、卒業できなかったときや、採用試験の過程に重大な偽りがあった等の内定取り消し事由に該当したりした場合の取り扱いについても記載することが多いです。内定については、法的に「解約権留保付労働契約」が成立したものと解釈されており、内定取り消し事由以外での内定取り消しは難しく、解雇同等の取り扱いとなりますので注意が必要です。

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