QUESTION
労働基準監督官の事業場への立入調査とはどういうものですか。
ANSWER
労働基準法で臨検が認められています。
解説
労働基準監督官が事業場に立入調査をすることを臨検といいます。労働基準法101条は、労働基準監督官が、事業場等に臨検し、帳簿や書類の提出を求め、または使用者や労働者に対して尋問を行う権限を持つことを定めています。
臨検には、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督の4種類あります。
定期監督とは、労働基準監督署が計画を定め、その定期的な計画に基づく監督です。
申告監督とは、労働基準監督署に対し、従業員等から法令違反の申告があった場合に実施されるものです。
災害時監督とは、一定規模以上の労働災害が発生した場合に、その実態確認のために行う調査をいいます。
再監督とは、定期監督等のその後の実施状況を確認するためのものです。是正報告書が期日までに提出されない場合に行われます。
最近は、申告監督が増加しています。
労働基準法は刑罰を伴う法規であり、労働基準監督官は労働基準法違反の罪について司法警察官の職務を行います(労働基準法102条)。労働基準監督官の監督指導に従わない悪質な場合は、送検・起訴されることもあります。
労働安全衛生法関係の臨検は予告なしの抜き打ちが多く、労働基準法の関係は帳簿の確認や聞き取りが必要なので、大抵予告があります。
臨検で問題があった場合は、是正勧告書か指導票が交付されます。是正勧告書には、法令違反事項と是正期日が記載されています。期日までに是正して、是正報告書を提出する必要があります。
法令違反ではないが労務管理や安全衛生上改善すべき点があると判断された場合は、指導票が交付されます。改善して、期日までに報告します。
是正監督・指導を無視する場合や虚偽の報告をする場合は、改善の意思がない悪質な事業主と判断されて、送検されることもあります。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.99090
画像:Mariko Mitsuda