QUESTION

労働災害で入院中の労働者の定年退職は延ばさなければならないのでしょうか。

ANSWER

原則、延長しなくてもよいです。再雇用や勤務延長の慣行があれば、これに則って対応が必要となります。

解説

労基法第19条では、労働者が業務上の災害を被った場合、その療養のために休業する期間とその後30日間は解雇してはならないことになっています。
しかし、この条文で制限している解雇とは、労働契約を将来に向かって解約する使用者側の一方的意思表示のことを指すものであり、同じ労働契約の解約であっても、労使間の合意による解約、労働契約の期間の定めがある場合の期間の満了、労働者側からするいわゆる任意退職などはここでいう解雇ではありませんから、労基法第19条にいう解雇制限期間中であってもこの適用を受けずに労働契約を終了させることが可能となります。
定年退職の場合も同様となります。定年による使用従属関係の終了は解雇ではありませんので、業務上の災害による休業期間中に定年退職日が到来しても、法の制限を受けることなく定年退職として取り扱われても差し支えありません。
ただし、この場合に注意すべき点は、定年に達しても引き続き雇用している例が多いことです。再雇用や勤務延長等、定年後も引き続いて働いているというような慣行が存在していれば、これに則って対応しなければなりません。

※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
 <監修>
   社会保険労務士法人中企団総研

No.99010

画像:Mariko Mitsuda

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