QUESTION
営業社員の採用にあたり、営業成績に比例する完全歩合給にできますか。
ANSWER
完全歩合給にすることはできますが、社員(労働者)として雇用する場合には、保障給規定が必要です。
解説
固定給の定めがなく、売上の増減に応じて給与を増減させる請負制賃金にすることも、可能です。
この場合、この営業社員が労働基準法でいう「労働者」か、会社の指揮も受けず、就業規則の適用もなく、労働時間にも拘束されない「独立の事業者」かにより、労働基準法27条(出来高払制の保障給)の適用を受けるかどうかが違ってきます。
労働者には出来高払制の保障給を支払わなければなりませんが、独立の事業者には保障給を支払う必要はありません。
問題は客観的に労働者になる場合の要件です。たとえ契約書の表記がどのようなものでも、
- 報酬が世間相場を下回らない
- 従業員の指示を拒否でき、始・終業の時刻を指示されない
- 会社の専属でない
等の要件を満たしていない場合は、独立の事業者ではなく労働者とみなされてしまうことがあります。
なお、労働者である場合、使用者が保障給の定めをしていないときでも、その営業社員が当然なにがしかの保障給を請求する法律上の権利を持つという性格のものではありません。
しかし、使用者は保障給を支払わないと労働基準法120条に定める罰則の適用を受けます。
通達でも、労働基準法27条は労働者の責に基づかない事由によって、実収賃金が低下することを防ぐ趣旨であるから、労働者に対し、常に通常の実収賃金とあまりへだたらない程度の収入が保障されるように保障給の額を定めるように指導することとされています。
労働基準法27条に従い、就業規則に保障給の定めをして、保障給を支払うべきです。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.92070
画像:Mariko Mitsuda