QUESTION
年俸制適用者にも残業代を支払わなければなりませんか。
ANSWER
年俸制でも、管理監督者に該当しない限り、労働時間を管理し、残業代を支払う義務があります。
解説
年俸制の労働者であっても管理監督者に該当する場合を除き、残業時間に応じた割増賃金の支払いが必要です。使用者は、この場合も始業・終業時刻の把握をしなければなりません。
通達では、
- 年俸に時間外労働等の割増賃金等が含まれていることが労働契約の内容であることが明らかであって、
- 割増賃金相当部分と通常の労働時間に対応する賃金部分とに区分することができ、かつ、
- 割増賃金相当部分が法定の割増賃金額以上支払われている
場合は、労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)に違反しないと解されるとしています。
また、あらかじめ、年間の割増賃金相当額を各月均等に支払うこととしている場合において、各月ごとに支払われている割増賃金相当額が、各月の時間外労働等の時間数に基づいて計算した割増賃金額に満たない場合も、労働基準法第37条に違反するとしています。
つまり、割増賃金を含めて年俸を決めていても、各自の各月の残業時間をきちんと把握する必要があります。
たとえ、管理監督者であっても、深夜の時間帯(午後10時から午前5時)に労働させる場合は、深夜業の割増賃金を支払わなければなりません。
なお、「時間外労働の罰則付き上限規制」が平成31年4月1日施行(中小企業:令和2年4月1日施行)され、1か月及び1年に残業させることができる時間数の上限と罰則が法律に規定されました。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.92020
画像:Mariko Mitsuda