1.歯周病と動脈硬化
歯周病が血管を詰まりやすくする原因になるということをご存知ですか?
歯周病の菌が悪い働きをして、血管がボロボロになり、動脈硬化の原因のひとつになっていきます。
歯周病は、自覚症状がほとんど現われずに進行する病気です。
セルフチェックをしてみましょう。
【セルフチェック】
①次の項目でチェックが付いた人は、歯周病に罹るリスクの高い人です。
□ タバコを吸う
□ 歯並びがわるい
□ やわらかい食べ物や甘い物が好き
□ 口を開けて眠るクセがある
□ 歯石を取ってもらったことがない
□ 太っている
②次の項目でチェックが付いた人は、歯周病に罹っている可能性が高い人です。
痛みを感じていなくても、1つでも当てはまったら、歯科で検査してもらいましょう。
□ 歯磨きの時に歯ぐきから血が出ることがある
□ 口臭が強いと言われたことがある
□ 歯ぐきが腫れることがある
□ 歯が浮いた感じがする
□ 歯と歯の間にものがはさまる
□ 歯がぐらぐらする
週に一度は歯と歯ぐきをチェックしてみてくださいね!
2.歯周病があると心筋梗塞リスクが2倍に上昇する?
歯周病は全身の病気に関係しています。
歯周病菌や炎症物質がだ液に混じったり血液に入り込み、全身に運ばれて悪影響を及ぼすと考えられています。
歯周病は糖尿病とも関連が深いです。歯周病菌に対する免疫反応から生じる生理活性物質である「サイトカイン」が、インスリンの働きを妨げることが分かっています。
歯周病があると糖尿病のリスクが高まるだけでなく、治療のときも血糖値のコントロールが難しくなります。
歯周病は「動脈硬化」にも関係します。血流に乗って運ばれた歯周病菌が血管壁に付着すると動脈硬化の進行に関与するのではないかと考えられています。
血液中に悪玉のLDLコレステロールが増えるとそれが血管壁の中に入り込みアテロームと呼ばれる脂肪の塊ができ、血管の通り道が狭くなります。これが動脈硬化で、心臓の血管で起きると「狭心症」や「心筋梗塞」が、脳の血管で起きると「脳梗塞」が引き起こされます。
東京大学の研究チームが、36歳~59歳の男性従業員3,081人を対象に、歯周病と心筋梗塞の関連を調べました。質問票を用いて「歯肉に出血がある」「歯がぐらつく」「口臭がする」という3項目に答えてもらい、その後5年間の健康状態を追跡調査しました。
その結果、歯周病の強く疑われる男性は、そうでない人に比べて、心筋梗塞の発症が約2倍多いことが明らかになりました。
歯周病は、40歳以降の日本人男性において頻度の高い疾患である一方、適切なセルフケア(歯磨きなど)や歯科メンテナンス(歯石除去、専門的クリーニング)で予防・改善できます。
つまり、歯周病を治療することが心筋梗塞の予防にも役立つのです。
【注意】医師の指示を受けている方は、必ず医師の指示を優先してください。
以上(2022年11月)
sj09053
画像:photo-ac