QUESTION
派遣先企業が、派遣社員を特定して選考することができますか。
ANSWER
選考することはできません。
解説
派遣先企業が派遣社員を特定することや、選考することは認められていません(労働者派遣法26条6項)。
たとえば、派遣社員について履歴書を求め、あるいは事前面接を実施することは禁じられています。
また、短期間の派遣契約を締結し、良否を判断した上で派遣契約を更新してその派遣社員を指名するような行為も、事実上の特定行為として禁じられています。
ただし、派遣社員の判断で行う派遣就業開始前の事業所訪問及び履歴書の送付などは、派遣先による派遣社員の特定に該当しないものと告示されました(派遣先指針第2の3)。
性別や年齢を要件とすることも、派遣社員の特定行為となります。ただし、合理的な理由があるときだけ、性別を特定することができます。
男女雇用機会均等法を具体化するためのいわゆる性差別指針(平成18年10月11日厚生労働省告示第614号)は、
- 芸術・芸能の分野
- 守衛、警備員などの危険な分野
- 宗教上、風紀上などにより性別を区別する必要がある分野
等においては、男女の区別を認めています。
また、募集・採用に関し年齢制限が認められる場合が、労働施策総合推進法施行規則1条の3で規定されています。
この場合も、派遣会社に対して年齢制限の理由を説明して初めて、年齢の制限が認められます。
さらに、外国籍である者や特定の思想活動を行っている者を派遣してはならないというような労働者派遣契約を結ぶこともできません。
労働者派遣法は、派遣先が、派遣社員を国籍・信条・性別・社会的身分・労働組合活動歴などを理由に派遣契約を解除してはならないと定めているからです(労働者派遣法27条)。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.94060
画像:Mariko Mitsuda