書いてあること
- 主な読者:社員の「熱中症」対策を進めたい経営者
- 課題:まずは熱中症に関する基本的な情報を知りたい
- 解決策:熱中症で緊急搬送されている人数、2024年夏の暑さの予報、熱中症の主な症状、熱中症になりやすい人・環境を把握する
1 「熱中症」がいよいよ本格化、対策は必須!
2024年7月22日、今年最多となる41箇所の地域に「熱中症警戒アラート」が発表されました。全国的に気温が著しく上昇し、地域によっては40度に迫るほどの猛暑日が続いています。社員の熱中症対策は必須です。
例年、熱中症で救急搬送される人数は5月ごろから徐々に増え始め、7月~8月にピークを迎えます。総務省消防庁「救急搬送人員及び死亡者数(年別推移)」によると、2023年7月に救急搬送された人数は3万6549人、5月~9月の累計では9万1467人となっています。
2024年6月時点の気象庁「全国の季節予報」によると、
2024年の7月から9月の東日本・西日本の平均気温は、30%の確率で平年並み、60%の確率で平年より高くなる見込み
です。コロナ禍を経て、日ごろからマスクを着用することもありますし、自宅でテレワークをする社員もいます。自宅はオフィスよりも空調設備が整っていないことが多いので、屋内でも社員が熱中症になるリスクは高まっているといえます。
そこで、熱中症対策の手始めとして、具体的な症状と熱中症になりやすい条件を確認していきましょう!
2 熱中症はどのような状態なのか?
熱中症の定義は次の通りです。
体温を平熱に保つために汗をかき、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)の減少や血液の流れが滞るなどして、体温が上昇して重要な臓器が高温にさらされたりすることにより発症する障害の総称(環境省「熱中症環境保健マニュアル」)
暑い場所などで作業し続けると、体内で熱が発生して体温が上昇します。通常は体温調節機能が働き、汗をかいて熱を体外に逃がすことで体温が下がります。しかし、体内の水分や塩分のバランスが崩れると体温調節機能が働きません。その結果、体温が下がらず熱中症になることがあります。
熱中症の主な症状は次の通りです。
熱中症は目まいなどの軽度な症状で済むこともあります。しかし、重症化すると意識障害などを起こし、最悪のケースでは死に至ることもあります。そのため、いち早く症状に気付き、重症化する前に対処しなければなりません。
3 どんな人が熱中症になりやすい?
個人の体質、普段の生活習慣、その日の体調など、さまざまな理由で熱中症になりやすい人がいます。例えば、寝不足や食欲不振などで体調が優れない、下痢や二日酔いなどで脱水症状気味といったときは注意が必要です。また、肥満の人や、運動習慣がなく体力や持久力のない人も熱中症になりやすいとされています。
その他、高齢者や持病のある人、体に障害のある人、(日焼けを防ぐために)暑い中でも厚手の長袖を着ている人なども注意が必要です。
感染症対策や業務上の必要性も含め、マスクを着用する人も注意が必要です。特に高温多湿の状況でマスクを着用していると、皮膚からの熱が逃げにくくなったり、喉が渇いていることに気付かなかったりすることから、体温調節がしづらく熱中症になるリスクが高まります。
4 高温多湿でなくても熱中症になりやすい条件は?
熱中症になりやすい条件は、
- 風が弱い
- 日差しが強い
- 急に暑くなった日
- 熱帯夜の翌日
- 照り返しが強い場所
- 熱波が襲来するとき
などです。オフィスであっても、熱が発生するサーバーや複合機などの業務機器が近くにある場所での作業は注意が必要です。また、テレワークの場合、電話やウェブ会議の音声を聞き取りやすくしたり、仕事に集中したりするためにドアや窓を閉め切ることがあり得ます。また、自室にエアコンがないという人もいます。こうした環境で長時間作業を続けると、熱中症になりやすくなります。
以上(2024年7月更新)
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画像:Lamyai-shutterstock