男性の育休取得は、2022年10月の新制度、出生時育児休業(産後パパ育休)の創設でより注目されることとなりました。さらに、2023年4月から「常時雇用する労働者」が1,000人を超える企業は、男性労働者の育児休業等の取得状況を年1回公表することが義務付けられました。

本稿では、一連の法改正により関心が高まっている男性の育児休業について、取得の現状や企業に課せられる法律上の義務などをご紹介します。

1 男性育休の取得率

厚生労働省「イクメンプロジェクト」、株式会社ワーク・ライフバランス、認定NPO法人フローレンスの三者が国内の企業を対象に行った独自の実態調査「男性育休推進企業実態調査2022」によると、回答企業平均の男性育休取得率は76.9%、平均取得日数は40.7日という結果となりました。

■男性育休取得率・平均取得日数の推移

男性育休取得率・平均取得日数の推移

この調査回答企業142社においては、男性の育児休業取得が定着してきたと言えるかもしれません。しかしながら、厚生労働省が発表している男性育休取得率は2020年12.65%、2021年13.97%となっており、また、2021年の育休の取得期間は、5日未満25.0%、5日~2週間未満26.5%と2週間未満が5割を超えるなど、全企業に浸透してきたと言える状況にはありません。

【男女の育児休業の取得期間の状況】

【男女の育児休業の取得期間の状況】

(厚生労働省「雇用均等基本調査」)

2 育児休業に関する企業の義務

日本では少子高齢化と労働力人口の減少が進んでおり、出産・育児を支援して労働者の離職を防ぐことは非常に重要な課題です。このことから、出産や育児に際する労働者を保護するべく法律も整備されてきました。以下に、法律により定められた育児休業に関わる企業の義務をご紹介いたします。

育児休業に関わる企業の義務

3 さいごに

企業が男性の育児休業を推進するメリットは、①労働者のワーク・ライフ・バランスが向上し、定着率がアップする、②「働きやすい企業」のイメージアップにつながり、採用に有利になる、③業務の属人化を低減させ、業務量・バランスの標準化につながる、といったものが考えられます。

また、育児休業を推進することで、両立支援等助成金(出生時両立支援コース、育児休業等支援コース)を活用することもできます。

企業は、育児介護休業規程などの運用規程の整備や、職場からの積極的な働きかけやサポートを行い、ワーク・ライフ・バランスのとれた働き方ができるよう、より良い職場環境の実現につなげていくようにしましょう。

※本内容は2023年7月14日時点での内容です

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:photo-ac

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