QUESTION
自宅でのテレワーク制度の導入を検討していますが、テレワーク中の労働時間について事業場外のみなし労働時間制を適用してもよいのでしょうか。
ANSWER
①情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされておらず、②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていない状況であれば、自宅テレワーク中の労働時間について、事業場外のみなし労働時間制を適用することができます。
解説
厚生労働省は、テレワークの更なる推進を図るため、「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」(令和3年3月25日改定)を策定しています。同ガイドラインによると、
1.情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと
※単にスマートフォン等を労働者が所持していることのみをもって、「常時通信可能な状態におく」とされるわけではなく、労働者が自分の意思で通信回線自体を切断することや、自分の意思でスマートフォン等から離れること、スマートフォン等への応答の自由が認められている場合には、この要件を満たすとされています。
2.随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
※使用者の指示が、業務の目的、目標、期限等の基本的事項にとどまり、一日のスケジュール(作業内容とそれを行う時間等)をあらかじめ決めるなど作業量や作業の時期、方法等を具体的に特定するものでなければ、この要件を満たすとされています。
の二要件を満たす場合には、事業場外のみなし労働時間制を適用することができるとしています。
また、事業場外のみなし労働時間制を適用する場合であっても、法定時間外労働、休日労働、深夜労働があれば、割増賃金の支払いが必要となりますのでご留意ください。
なお、司法判断では、事業場外のみなし労働時間制の適用を否定する判決が多い傾向にあるため、テレワーク制度を導入する場合でも、本当に事業場外みなし労働時間制を適用すべきを慎重に検討するのが望ましいと考えられます。
※本内容は2024年2月29日時点での内容です。
<監修>
社会保険労務士法人中企団総研
No.93150
画像:Mariko Mitsuda