入社した新卒社員や若手社員が「定着しない」「離職が目立つ」という企業経営者・人事担当者の声は非常に多くなっています。それを裏付けるように、最新の厚生労働省の調査でも、新卒社員の3割が入社後3年以内に退職しています。
本稿では、新卒入社1年目から3年目の若手新卒社員を対象にした「仕事や会社についての満足度」の調査を参考に、早期退職に至る若手社員の仕事のモチベーションや勤続意欲に関する考えを明らかにしていきたいと思います。
1 新入社員の入社理由
リスクモンスター(株)が、新卒入社1~3年目の男女600名を対象にした調査において、「現在の勤務先を就職先として選択した際の選択理由」(上位)は次のようになっております。
(リスクモンスター(株)「若手社員の仕事・会社に対する満足度」)
福利厚生がトップということは、意外のように思われますが、昨今の新入社員は、福利厚生を含めた労働環境の良い企業を選択し、入社後も採用時に期待したイメージが現状においても満たされていることが勤続意欲の維持に寄与しているものと考えられます。
2 入社後3年間に対する勤続意欲
また、「当面3年間に対する仕事・会社に対する勤続意欲」では、次のような結果となり、若手社員のおよそ2人に1人が3年以内での退職を考えていることが明らかになっています。
※背景色付きは、回答率が半数を超える数値
(リスクモンスター(株)「若手社員の仕事・会社に対する満足度」)
新卒入社2年目では「3年以内に退職」が前回調査より12ポイント増加しています。この世代は、就職活動においてコロナ禍の影響により就職活動がままならず、就職先の選定が不十分であったことが原因であると考えられます。
3 さいごに
また、本調査の別の項目では、「サービス残業」「業務効率が悪い」「有給休暇が取得しにくい」などは、時代遅れな働き方と認識されています。
このような調査結果を見るに、まずはワークライフバランスを重視した労働環境をつくること、タイムパフォーマンスを高めること、そして自社のことを知ってもらう機会を作るということが重要といえましょう。
企業にとって、若手社員の採用は、大きなコストをかけて実施する投資であって、早期離職は大きな損失となります。コロナ禍を経て変化してゆく社会環境を捉えて対応していくとともに、引き続き働き方改革の推進を図っていくことが、早期離職防止のための有効策となるのではないでしょうか。
※本内容は2023年3月13日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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