雇用保険法等の一部を改正する法律(以下、「改正法」という)が令和4年3月30日に成立し、4月1日から施行されています(一部の施行日は別)。改正法については、雇用保険率の上昇や年度途中の料率変更が話題となりましたが、それ以外にもこれまでの法規制から大きく転換し、企業にとっても影響の大きい改正内容が含まれています。本稿では、従業員の生活や企業実務に関係する部分を中心に、改正法の内容を解説します。

1 雇用保険率の改正▶労働保険徴収法改正、令和4年4月1日施行

令和4年度の雇用保険率は、令和4年4月1日から9月30日までの期間(令和4年度前期)と令和4年10月1日から令和5年3月31日までの期間(令和4年度後期)のそれぞれで上昇します(図表1)。年度途中の料率変更は平成14年度以来であり、当時は雇用情勢が想定以上に悪化したため急遽10月1日から引き上げた経緯があったのですが、年度当初から変更が予定されたのは初のケースとなります。雇用保険率の改正に伴い、毎月の賃金、賞与計算に影響が生じるため、具体的な実務上の留意点を解説します。

令和4年度の雇用保険率

(1)給与計算システムの確認

まず、利用している給与計算システムが年度途中での料率変更に対応しているか確認してください。クラウド型の給与計算システムを利用している場合は、一般的に、最新の雇用保険率の改正に自動的に対応されており、利用者側でアップデート等の作業をする必要はないはずですが、念のため利用しているソフトの公式ウェブサイトをご確認ください。

次に、PCにインストールするタイプの給与計算システムを利用している場合は、システムのアップデートを必ず行ってください。

また、従業員数が少なく、Excelで賃金計算を行っている場合は、参照している雇用保険率の箇所の変更が必要です。ただし、令和4年度前期の雇用保険率の変更は、事業主負担のみ(一般の事業の場合、6.5/1000)であり、令和4年度後期から事業主負担が再度上昇(一般の事業の場合:8.5/1000)し、労働者負担も変更(一般の事業の場合:5/1000)になります。過去のデータをコピー&ペーストする際には、変更箇所の違いがある点にご注意ください。また、令和4年4月以降、令和4年10月以降に支給する賞与についても雇用保険率が異なる点に併せてご注意ください。

(日本法令ビジネスガイドより)

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画像:photo-ac

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