「パートタイム・有期雇用労働法(以下、同法)」に基づく同一労働同一賃金が、中小企業に対しても適用されましたが、各企業の取組はどの程度まで進んでいるのでしょうか。本稿では、企業が同一労働同一賃金で求められることを簡単にお伝えしながら、その対応状況についての調査結果を概観し、お伝えいたします。
1 企業が求められること
同法では、正社員と非正規雇用労働者(短時間労働者・有期雇用労働者)の間の不合理な待遇差の解消(いわゆる「同一労働同一賃金」)として、以下のことが求められています。
①同じ企業で働く正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当、福利厚生などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
※職務内容とは、業務内容+責任の程度をいいます。
②事業主は、非正規雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければなりません。
2 各企業の対応状況
独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」の結果が、2021年11月に公表されました。以下に、その結果を抜粋してご紹介します。
「同一労働同一賃金ルール」への対応(雇用管理の見直し)状況
待遇要素毎の具体的な見直し内容
(「必要な見直しを行った・行っている、または検討中」として待遇面の見直しを挙げた企業のうち)
「パートタイム・有期雇用労働者」に対する「正社員(無期雇用フルタイム労働者)」との待遇差や理由にかかる説明状況
~待遇差が「不合理ではない」ことについて
※すべて『独立行政法人 労働政策・研究機構「同一労働同一賃金の対応状況等に関する調査」結果』より
以上のように、対応が必要なことのうち、不合理な差に対する対応が完了している企業はおよそ5割、待遇差や理由が説明できると回答している企業はおよそ6割であり、それ以外の企業が、対応中あるいは対応が進んでいない状況であることが見て取れます。
3 おわりに
具体的な見直し内容を見るに、取扱いをマイナス方向で検討する事例もありますが、これには不利益変更に該当する要素もあります。いまだ対応方法にお悩みの企業や、取扱い変更時や待遇差の説明について自信を持てない企業は、専門家の助言を受けるなどし、いち早く対応することが望まれます。
※本内容は2021年12月13日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
sj09025
画像:illust-ac