人手不足に悩む中小企業にとって、60代のシニア層の活用は有効な解決策のひとつとなり得ます。本稿では、公益財団法人産業雇用安定センターが、求職活動中の60代男女を対象に実施した「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」(2023年11月。男女各500人回答)の結果をもとに、働くことに関するシニア層の希望や意識についてお伝えします。

1 仕事内容・働きやすさ重視

シニア層が仕事探しで最も重視しているのは、「仕事内容や職場の働きやすさ」です。60代男女全体の40.1%が「重視する」と答えました。次いで「就業場所・通勤時間」が34.9%、「就労日数・就業時間」が33.7%、「これまでの職業経験・知識を活かせる」が32.5%でした。「給料」は25.1%、「体力・体調に合っている」は22.7%にとどまりました。

仕事探しで重視するもの

仕事探しで重視するもの

2 60~64歳男性、週5日以上希望

「週に何日働きたいか」という質問では、男性の働く意欲が高いことがうかがえます。「週6日」または「週5日」と答えた男性は、60~64歳で計48.6%、65~69歳でも計30.3%に上りました。「1日に何時間働きたいか」という質問でも、60~64歳男性の70%が「6~8時間程度」と回答しています。

週に何日働きたいか

週に何日働きたいか

1日に何時間働きたいか

1日に何時間働きたいか

また、民間企業における仕事の希望度としては、「事務補助・雑務」「一般事務」「商品仕分・梱包業務」などといった業務を希望する割合が比較的高くなっています。また、人手不足の運輸、警備、介護福祉などの仕事であっても、ルート配送、福祉施設の間接業務、夜勤なしといった業務に対しては一定数の希望者がみられます。

3 さいごに

企業には、65歳までの雇用機会の確保が義務付けられ、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっています。これから60代以上の従業員が意欲的に、能力を発揮しながら働けるよう、これまで以上の配慮が求められるでしょう。ぜひ、本稿で紹介したアンケート結果を参考に、シニア層の就業ニーズを的確につかみ、対策を立ててください。

※3つのグラフは、公益財団法人産業雇用安定センター「60代シニア層の就業ニーズに関するアンケート調査」の結果より抜粋

※本内容は2024年8月13日時点での内容です。

(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)

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画像:kapinon-Adobe Stock

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