書いてあること

  • 主な読者:訪問看護ステーションの開設を検討している人
  • 課題:物件を賃借し、訪問看護ステーションを開設する
  • 解決策:開業、運営に掛かる費用の目安を押さえ、収支計画をシミュレーションしてみる

1 訪問看護ステーションとは

訪問看護ステーションとは、

都道府県知事から事業所の指定を受けて、看護師等が利用者の居宅を訪問し、病状の観察、リハビリテーション、医師の指示に基づく医療処置、医療機器の管理、家族への介護支援・相談、週末期のケアなどを行うサービス

です。

なお、病院や診療所が「みなし指定(健康保険法の保険医療機関・保険薬局が介護保険法による医療系サービスの事業者として、指定をされたものとみなすこと)」としてサービスを提供する場合は「訪問看護」の名称になります。以降では、注釈がない限りは訪問看護ステーションで呼称を統一します。

訪問看護ステーションを開設するには、

  • 法人格を取得する
  • 厚生労働省令で定められた事項を都道府県知事に届け出る
  • 厚生労働省が定める「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」を満たす
  • 施設の所在地の都道府県知事(指定都市・中核市は各市長)から「指定居宅サービス事業者」の指定を受ける

必要があります。

なお、市区町村によって基準が異なる場合や、設置を計画していた施設の数を満たしているといった理由で申請を受け付けていない場合があるため、事前に市区町村の担当部署に確認しましょう。

また、市区町村によって施設整備費や設備整備費などに補助金を出していることもあるので、併せて確認するとよいでしょう。

2 開業収支を考える

1)前提条件

1.売上高

売上高は、1カ月あたりの利用者数を70名として年間3980万円とします。算出式は次の通りです。

介護サービス費4万7300円×1カ月あたりの利用者数70名×12カ月≒3980万円

訪問看護ステーションの売上高は、介護サービス費から成ります。

厚生労働省「介護給付費等実態統計月報(令和6年3月審査分)第5表 介護サービス受給者1人当たり費用額,要介護状態区分・サービス種類別」によると、訪問看護の介護サービス受給者1人当たり費用額は4万7300円となっています。介護保険が適応されるので利用者の負担は1割(一定基準以上の所得がある場合は2割または3割)となります。

2.原価率

原価率は、後掲の図表4(訪問看護の1施設1カ月当たり収支)の介護事業費用のうち(4)その他を参考に18.1%とします。

3.人件費

人件費は同じく後掲の図表4(訪問看護の1施設1カ月当たり収支)の介護事業費用のうち(1)給与費74.6%を参考に2969万円(3980万円×74.6%)とします。

4.その他

ここでは、車両のリース費用として、年間48万円(月額2万円×12カ月×2台)を盛り込んでいます。

5.施設整備・設備整備費用

駐車場付きの物件を賃借することとします。賃料は月額22万円と仮定し、設備・備品の購入費用を50万円と仮定します。

その他の諸条件は図表1の通りです。

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2)収支シミュレーション

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3 訪問看護の1カ月当たり収支

厚生労働省「令和5年度介護事業経営実態調査」によると、訪問看護の1施設1カ月当たり収支は次の通りです。

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以上(2024年8月更新)

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画像:Akarawut-Adobe Stock

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