書いてあること

  • 主な読者:レンタルフラワーサービスの提供を検討する経営者
  • 課題:現在の市場規模、注意すべき点などが分からない
  • 解決策:市場の推移や具体的な注意点を把握する

1 レンタルフラワーとは

レンタルフラワーとは、法人・個人に対し、装飾用・観賞用の花を有料でレンタルするサービスのことです。植物をレンタルする事業としては、レンタルグリーン(観葉植物のレンタル)が広く知られていますが、近年は後述する造花やプリザーブドフラワーの質の向上などにより、レンタルフラワーにも注目が集まってきています。

事業者によって異なりますが、レンタルフラワーの一般的なサービスの流れは次の通りです。

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一般的に、レンタルフラワーには、会社、病院、ホテル、ショッピングモール、飲食店などで定期交換を繰り返しながらレンタルする「レギュラーレンタルフラワー」と、ステージ・イベント、撮影会、講演会などのために単発的にレンタルし、不要となった際は撤去する「スポットレンタルフラワー」があります。

レンタルフラワーは、1つの花を使い回す特性上、小売業に比べると低い料金でサービスを提供しやすいという特徴があります。一方で、常に新品を提供するわけではないため、製品の品質維持に留意する必要があり、また交換の頻度などによっては小売業よりも多くの人員が必要となる可能性があります。

2 レンタルフラワーの市場規模

経済産業省へのヒアリングによると、「レンタルフラワーは、日本標準産業分類における『7099 他に分類されない物品賃貸業』に該当する」とのことです。この分類には、レンタルフラワー以外の物品賃貸業も含まれるため、市場規模を測る指標としては適切とはいえません。

フラワースクールの運営や花に関する情報提供などを行っているフラワーエデュケーションジャパン・アソシエーション(以下「FEJ」)へのヒアリングによると、「レンタルフラワーを単独で行う事業者は少なく、花屋などの小売業を営んでいる事業者が、小売業と並行してレンタルフラワーを行っている場合がほとんどであると思われる」とのことでした。

そこで、参考情報として日本標準産業分類「6093 花・植木小売業」の市場規模を紹介します。花・植木小売業の事業所などの推移は次の通りです。

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3 レンタルフラワーを始める際の留意点

1)取り扱う花の種類について

レンタルフラワーで取り扱う花は、次の3種類に大別されます。

1.生花

造花やプリザーブドフラワーのように加工を施していない自然の花です。香りや質感を重視する顧客には好まれます。

しかし、造花やプリザーブドフラワーに比べると製品寿命が短く、交換頻度が高い、メンテナンスに手間が掛かるといったデメリットがあります。また、顧客は水やりなどの世話を定期的に行う必要があります。

2.造花

布やプラスチックなどの素材を加工した人工の花です。丈夫で軽量なため、長期利用が可能な他、アレンジメントがしやすくなっています。水やりなどの世話が不要なため、顧客にとっては使いやすい製品です。

近年は制作技術の向上により、生花に近い質感を出せるようになっていますが、それでも生花には劣るという意見が多いようです。

3.プリザーブドフラワー

生花を特殊加工して、長期利用を可能にした花です。生花に近い質感を維持することができ、また、専用の香水を使って香りを付けられるものもあります。水やりなどの世話が不要なため、顧客にとっては使いやすい製品です。

しかし、プリザーブドフラワーに加工できない生花もあるため、種類が限られるというデメリットがあります。また、湿気の多い場所ではカビが生えることがあるなど、注意が必要な面があります。

レンタルフラワーでは、1つの花を使い回して使用するため、長期利用が可能な造花やプリザーブドフラワーを取り扱う事業者が多いようです。

もちろん生花レンタルを行う事業者もありますが、FEJへのヒアリングによると、「長期利用を想定した場合、生花は造花やプリザーブドフラワーよりもコストがかかる傾向にある。そのため、生花レンタルを専門に行う事業者はほとんどないと思われる」とのことでした。

2)レンタル料金について

レンタル料金は、花の種類やサイズ、交換頻度などによって異なります。例えば、エミハナスタイル(静岡県静岡市)では、花のサイズと交換頻度に応じて、アーティフィシャルフラワー(造花)のレンタル料金を次のように設定しています。

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3)営業活動について

FEJでは、協会のウェブサイトで、レンタルフラワーの営業活動を仕事につなげるためのポイントを紹介しています。主なポイントは次の通りです。

1.企画書を準備する

きちんとした企画書を準備して臨むと、より仕事を円滑に進めていくことができます。次の5つを押さえて、できるだけ簡潔な企画書をつくることがポイントです。

  • 自身のプロフィール
  • プリザーブドフラワーもしくはアーティフィシャルフラワーの魅力
  • レンタルのメリット
  • 数種類のサンプル画像を添付
  • 料金表

2.レンタルのメリットを明らかにする

次の内容を参考に、レンタルのメリットを顧客に説明します。

  • 価格:購入する場合との比較や、生花との比較を具体的に明記しましょう
  • 業務の効率化:手入れ時間などが不要なため、貴重な時間を有効利用していただけます
  • 衛生的:水や土が不要なため、病院などでも安心してご利用いただけます

3.料金は具体的なプランを提示する

年間12回(毎月交換)、年間6回(2カ月ごとに交換)、年間4回(季節ごとに交換)など、具体的なプランを提示します。さらにこれらをサイズごとにリストアップして、あらゆるニーズに対応できることを提示します。分割払いと一括払いの金額に差をつけたり、買い取りの金額を記載したりするといいでしょう。

4.訪問時はサンプルを持参する

花の魅力を伝えるには実際に見て触れてもらうのが一番効果的なので、訪問時は企画書と一緒にサンプルを持参します。できればショップイメージに合わせたデザインで制作します。

5.花を飾る意味や効果を伝える

「こちらのお店は女性だけではなく、男性のお客様も多くいらっしゃいますので、グリーンとホワイトを基調とした清潔感のあるデザインにしました」など、花を飾る意味や効果を伝えます。

詳細については、FEJのウェブサイトをご確認ください。

■FEJ「最近良く聞くレンタルフラワービジネス.仕事に繋げる為にはどうしたらいい?」■
http://flowereducation.net/blog/2017/03/23644

4 レンタルフラワーを行っている事業者の事例

1)花門フラワーゲート(東京都中央区)

観葉植物の他、草花、生花、造花のレンタルを行っており、「日本で最初に草花のレンタルを始めた会社」とされています。生花・造花のメンテナンスにおいては、交換を行いながら常に美しい状態を保つことに留意しており、花の種類と状態に合わせた水さし、あらかじめ器に生けた状態での納品などを行っています。

■花門フラワーゲート■
https://www.flowergate.co.jp/

2)エム・エフ・プランニング(東京都世田谷区)

アートフラワー(造花)のレンタルを行っています。冒頭で紹介した「レギュラーレンタルフラワー」「スポットレンタルフラワー」の他、観葉植物や人工樹木のような鉢物とは趣の異なるあか抜けたイメージの葉物・枝物を提供する「グリーンアレンジレンタル」などのサービスを実施しています。

■エム・エフ・プランニング■
http://mf-planning.com/

3)エミハナスタイル(静岡県静岡市)

アーティフィシャルフラワー(造花)のレンタルを行っています。前述の通り、花のサイズや交換頻度に合わせた料金設定をしている他、花に関する知識や技術を学ぶフラワーアレンジメントスクールも運営しています。

■エミハナスタイル■
https://www.emihanastyle.com/

以上(2019年7月)

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画像:pixabay

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