書いてあること

  • 主な読者:地域密着型サービスについて知りたい経営者
  • 課題:サービス内容が数種類に分かれているので、各サービスの概要を把握したい
  • 解決策:地域密着型サービスは9種類。地域密着型介護予防サービスは3種類で、高齢者の状況などによってサービスが分かれている

1 地域密着型サービスの概要

1)地域密着型サービスとは

超高齢社会を迎え、認知症の高齢者や一人暮らしの高齢者の増加が見込まれています。地域密着型サービスは、高齢者が身近な地域での生活を継続できるようにするためのサービスです。

地域密着型サービスには、介護給付および予防給付の対象となるサービス、介護給付のみ対象となるサービスがあります。事業者の指定や監督は市町村が行います。

施設などの規模が小さいので、利用者のニーズにきめ細かく応えることができます。事業者が所在する市町村に居住する者が利用対象者となっています。

2)地域密着型サービスの種類

1.定期巡回・随時対応型訪問介護看護

日中・夜間を通じて、訪問介護と訪問看護を一体的に、またはそれぞれが密接に連携しながら、定期巡回訪問と随時の対応を行います。

2.看護小規模多機能型居宅介護(2015年4月に「複合型サービス」から名称変更)

小規模多機能型居宅介護と訪問看護の複数のサービスを組み合わせ、看護と介護サービスの一体的な提供により、医療ニーズの高い要介護者を支援します。

3.夜間対応型訪問介護

夜間に定期的な巡回をしたり、通報によって居宅を訪問したりして、排せつの介護、日常生活上の緊急時の対応を行います。

4.地域密着型通所介護

日中、小規模のデイサービスセンターなどにおいて、入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話、機能訓練などを日帰りで提供するサービスです。

地域密着型通所介護は、2016年4月1日に創設され、これに伴い、従前の小規模な通所介護事業所については、地域密着型通所介護事業所に移行しました。なお、小規模な通所介護を地域密着型サービスへ移行させるに当たり、地域との連携や運営の透明性を確保するための運営推進会議の設置などの新たな基準が設けられました。また、療養通所介護、認知症対応型通所介護に関する規定についても、同様の改正が行われています。

5.認知症対応型通所介護

脳血管疾患、アルツハイマー病などにより認知機能が低下した高齢者に対して、通所介護事業所などにおいて、入浴、排せつ、食事などの介護、機能訓練を提供します。

6.小規模多機能型居宅介護

デイサービスを中心に、高齢者の状態や希望に応じて、訪問介護やショートステイなどを組み合わせてサービスを行います。

7.認知症対応型共同生活介護

認知症の高齢者が9人以下の少人数で共同生活しながら、入浴、排せつ、食事などの日常生活上の世話、機能訓練などを提供するサービスです。

8.地域密着型特定施設入居者生活介護

介護専用の有料老人ホーム(定員29人以下)などで、食事、入浴などの介護や機能訓練を提供します。

9.地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護

小規模な特別養護老人ホーム(定員29人以下)で、入浴、排せつ、食事などの介護サービスや機能訓練、健康管理サービスを提供します。

2 地域密着型介護予防サービスの概要

1)地域密着型介護予防サービスとは

地域密着型介護予防サービスとは、地域密着型サービスを提供する施設において提供される介護予防サービスのことをいいます。地域密着型介護予防サービス事業者の指定は、市町村長が行います(介護保険法第115条の12)。

地域密着型介護サービス事業者で、介護予防サービス(要支援者向け介護サービス)を提供したい場合、地域密着型介護予防サービスの指定を併せて受ける必要があります。

2)地域密着型介護予防サービスの種類

1.介護予防小規模多機能型居宅介護

介護予防小規模多機能型居宅介護とは、居宅要支援者について、その者の心身の状況、その置かれている環境などに応じて、その者の選択に基づき、その者の居宅において、または所定のサービスの拠点に通わせ、もしくは短期間宿泊させ、当該拠点において、その介護予防を目的として、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援であって、厚生労働省令で定めるものおよび機能訓練などを行うことをいいます。

2.介護予防認知症対応型通所介護

介護予防認知症対応型通所介護とは、居宅要支援者であって、認知症である者について、その介護予防を目的として老人デイサービスセンターなどに通わせ、当該施設において、厚生労働省令で定める期間にわたり、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援であって、厚生労働省令で定めるものおよび機能訓練などを行うことをいいます。

3.介護予防認知症対応型共同生活介護

介護予防認知症対応型共同生活介護とは、要支援者であって、認知症である者について、その共同生活を営むべき住居において、その介護予防を目的として、入浴、排せつ、食事などの介護その他の日常生活上の支援および機能訓練などを行うことをいいます。

3 地域密着型サービスの事業者数、介護費

1)地域密着型サービス事業者数

地域密着型サービス事業者数の推移は次の通りです。

画像1

ほとんどの事業所では、介護給付の対象となる事業所の指定と、予防給付の対象となる事業所の指定を併せて受けています。

2)地域密着型サービスの介護費

地域密着型サービスの介護費の推移は次の通りです。なお、介護費は介護給付と予防給付の合計値です。

画像2

介護費はいずれの地域密着型サービスにおいても増加傾向にあります。国民健康保険中央会では介護予防給付のみの数値を非公開としています。そのため、同中央会の統計からは地域密着型介護予防サービスについての介護費を把握することができません。

地域密着型サービスの中で、認知症対応型共同生活介護が多くを占めており、介護費は増加を続けています。介護度の高い要介護者が増えるに伴い、認知症高齢者も増加しており、施設が整備されるとともに介護費についても拡大の一途です。

以上(2018年10月)

pj50211
画像:pixabay

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です