書いてあること
- 主な読者:サンショウを使った食材の開発などで、サンショウの取引を始めたい経営者
- 課題:サンショウの国内市場の構造や需給が分からない
- 解決策:サンショウの国内における生産状況や消費動向を知る
1 日本におけるサンショウの作付けについて
1)サンショウの栽培面積、収穫量、出荷量
農林水産省「特産果樹生産動態等調査」によると、サンショウは、かんきつ類以外の果樹(落葉果樹)に含まれます。サンショウの栽培面積、収穫量、出荷量の推移は次の通りです。
2017年のサンショウの栽培面積は約333ヘクタール、収穫量は約736トン、出荷量は約728トン(うち加工向けが約541トン)となっています。
2)サンショウの主要産地
農林水産省「特産果樹生産動態等調査」によると、サンショウの主要産地(2017年)は次の通りです。
栽培面積、収穫量、出荷量ともに第1位は和歌山県です。和歌山県内の主要産地は、有田郡有田川町、海草郡紀美野町、紀の川市で、品種は実が大きく肉厚な「ぶどうサンショウ」です。
有田川町では、未熟果(生サンショウ)が5月上旬から6月上旬に収穫されます。生サンショウはつくだ煮やちりめんサンショウなど、食用に加工されます。香辛料の七味などに利用されるサンショウは7月上旬から8月中旬に収穫され、乾燥した後に乾(ひ)サンショウとして出荷されます。
■有田川町「ぶどう山椒」■
https://www.town.aridagawa.lg.jp/top/kanko/6/3238.html
2 日本におけるサンショウの消費について
1)サンショウの主な用途
サンショウは、部位によってさまざまな用途に利用されています。
- 木の芽(葉サンショウ):薬味、香辛料
- 雄株の花(花サンショウ):酢漬け
- 未熟果(生サンショウ):つくだ煮、ちりめんサンショウ
- 成熟果(乾サンショウ):香辛料、漢方薬
- 樹皮:みそ漬け、しょうゆ煮
- 幹:すりこぎ
2)食品用サンショウの主な実需者
香辛料や調味加工食品の製造を手掛けるエスビー食品、ハウス食品グループ本社(ハウス食品、ギャバン、朝岡スパイス)、ユウキ食品(ブランド名はマコーミック)、ヤスマ(ブランド名はマスコット)などの食品メーカーが、乾サンショウの主な実需者として挙げられます。
これらの実需者による主な加工製品は、乾サンショウのホールタイプの商品の他、乾サンショウを粉砕した「粉サンショウ」があります。その他、コメからつくった油に粉サンショウを加えた「山椒香味油」や、蒸留液にサンショウなどを漬け込んで香りを引き出した後に再蒸留した「プレミアムジン」などに加工している実需者もいます。
3)漢方薬原料用サンショウの消費について
東京生薬協会のウェブサイトによると、サンショウは漢方処方薬として冷えによる腹痛や膨満感を治療する薬方に配合される他、芳香性健胃薬などの原料となります。日本特産農産物協会「地域特産作物(工芸作物、薬用作物及び和紙原料等)に関する資料(平成30年産)」(2020年3月)によると、2018年産のサンショウは、薬用作物として約221ヘクタールで栽培され、約240トンが生産されました。
生薬や漢方薬の製造を手掛ける武田薬品工業、ツムラ、クラシエ薬品、イスクラ産業などの薬品メーカーが、乾サンショウの主な実需者として挙げられます。
以上(2020年6月)
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画像:photo-ac