書いてあること
- 主な読者:日々の与信管理を仕組み化し、取引先の経営状況を横で比較したい経営者
- 課題:社員によって与信管理の意識が違うし、何をチェックしたらよいのか分からない
- 解決策:取引先の経営状況を比較するためのチェックリストを作成する
1 日々の「与信管理」で使えるチェックポイント
与信管理は日々、継続して行う必要があります。しかし、取引開始後はどうしてもチェックが甘くなりがちです。また、社員によって与信管理に対する重要性の認識が違うため、足並みも揃いません。こうした問題を解決し、取引先の状況を「横で比較」しやくするためにはチェックリストの活用が有効です。
この記事では、取引先の経営実態をつかむ際に重要となるチェックポイントを紹介します。これをリスト化して、日々の与信管理に活用してください。
2 ヒトから経営実態をつかむ
企業経営はヒトが要で、特に中小企業では「経営者=会社」というほど、経営者が経営に影響を与えます。取引先のヒトを知るには、実際に話してみるのが肝心。対面が望ましいですが、難しい場合はオンラインでもよいでしょう。ヒトに関する主なチェックポイントは次の通りです。
- 壮大な事業計画を口にする
- 他人の意見や忠告を聞かない
- 社外の公職をひけらかす
- 服装や生活が派手だ
- 家庭不和の噂がある
- 幹部社員の入れ替わりが激しい
- 社長との連絡がほとんどとれない
- 社員の表情が暗い、覇気がない
3 モノから経営実態をつかむ
取引先の経営実態は商品などモノの流れから把握できます。具体的には、仕入先や販売先、在庫などをチェックします。取引先と関係のある仕入先や販売先の企業にヒアリングする、取引先の倉庫に出向く機会があれば在庫を確認することをしてみましょう。モノに関する主なチェックポイントは次の通りです。
- 取引量が急増もしくは急減した
- 仲間取引が急増している
- 主要仕入先や販売先が頻繁に変わる
- 在庫品がきちんと保管されていない
- 不良品が増加している
- 本業と関係のない商品の取り扱いを始めた
4 カネから経営実態をつかむ
取引先の経営実態は、決算書などの財務内容に表れます。取引先の決算書を入手して財務内容をチェックすることも必要です。取引先の決算書を入手するのが難しければ、信用調査会社から入手することもえきます。カネに関する主なチェックポイントは次の通りです。
- 売掛金、借入金、棚卸資産が急増している
- 税金や社会保険料の滞納が続いている
- 決済日を守らなくなった
- 手形のサイトが長期化した
- 決済条件の変更を頻繁に要請してくる
- 取引銀行が頻繁に変わる
5 周辺情報から経営実態をつかむ
同業者の声や街の噂など、取引先に関する第三者の情報も役立ちます。周辺情報に関する主なチェックポイントは次の通りです。
- 同業者から悪い噂を耳にする
- 使い込みなどの噂を耳にする
- 飲み屋で支払いが悪いという声を耳にする
- 派手な接待を行っているといった噂を聞く
以上(2024年5月更新)
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画像:Mariko Mitsuda