活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
交通ルールの遵守は、交通安全を確保するために必要なことですが、様々な交通違反により交通事故が発生しています。
特に安全運転義務違反は、多くの交通事故の背景に潜んでおり、重大事故につながりかねないたいへん危険な行為です。安全運転の義務を理解し、安全運転に努めることで交通事故の発生を防止しましょう。
1.安全運転義務違反とは
(1)安全運転義務違反とは
ドライバーには、自動車の装置を確実に操作する義務と、周囲の状況を適切に確認・判断し安全に運転する義務があります。
つまり、ハンドル等の操作を誤ったり、相手への注意や状況判断が十分でないことで、事故を起こしたような場合、安全運転義務違反となります。
参考:道路交通法第70条(安全運転の義務)
「車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない」
(2)安全運転義務違反の割合
警察庁の統計(下のグラフ)によると、令和2年中に発生した原付以上の車両による交通事故のうち、安全運転義務違反が72%を占めており、いかに危険であるかが分かります。
逆にいうと、もしも安全運転義務に留意していれば、未然に防げた交通事故も多くあったということになります。
(3)交通違反点数と反則金
安全運転義務違反には下表の違反点数と反則金が課せられます。反則金は車種別で異なりますが、大型車であっても原付であっても歩行者からすると危険であることに変わりありません。
2.安全運転義務違反の内訳
令和2年中の安全運転義務違反の内訳を見ると、「安全不確認」、「脇見運転」、「動静不注視」、「漫然運転」、「運転操作不適」の5つが大半を占めています。
これを運転の「認知」、「判断」、「操作」のプロセスにあてはめて考えると以下の通りです。
①安全不確認(45%)・・・「認知」
前方、後方、左右の確認不十分で他車や歩行者等を見落とし事故に至るケース
②脇見運転(19%)・・・「認知」
脇見をして、前方への注意が不十分となり事故に至るケース
③動静不注視(14%)・・・「判断」
他車や歩行者等を認識しつつも、その動静への注意を怠ることで事故に至るケース
④漫然運転(11%)・・・「認知」
考えごと等をして運転への注意が緩慢になり事故に至るケース
⑤運転操作不適(9%)・・・「操作」
ブレーキの踏み間違え、ウィンカーの不使用、片手運転等で事故に至るケース
「認知」に関するものを合計すると75%を占めています。これは、誰にでもあるちょっとした油断や慢心が運転への注意をおろそかにし、事故の原因になりやすいことを表していると考えられます。
3.安全運転を実践するための対策
安全運転義務違反での事故はすべてのドライバーに起こり得ると言えます。今まで大丈夫だったからといって油断や慢心は禁物です。絶対に事故を起こさないという心構えをしっかり持って、安全運転意識の維持向上に努めましょう。
- 運転中は適度に緊張感を持ちながら運転に集中するよう心がけましょう。
- 周りの自動車や歩行者等の動きを常に意識し、「かもしれない」の危険予測運転を心がけましょう。
- 冷静な判断を持続できるよう体調に気を配り、十分な睡眠時間・休憩時間をとりましょう。
交通事故の加害者・被害者にならないよう、いま一度「安全運転義務」の観点から「運転」について振り返り、交通安全につなげてください。
以上(2022年2月)
sj09026
画像:amanaimages