活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
秋の行楽シーズンを迎え、長時間の運転も増えるのではないでしょうか。そこで気を付けたいのが居眠り運転です。運転中に眠気を経験したドライバーも多いと思いますが、運転中の居眠りは重大な事故を招きかねず大変危険です。
今回は、居眠り運転の原因と防止策について取り上げます。
1.居眠り運転の原因
居眠り運転は、危険への注意や回避ができず、死亡事故など重大事故につながる可能性があります。では、なぜ居眠り運転をしてしまうのか、主な原因を考えてみましょう。
(原因1)睡眠不足
まず最初に睡眠不足があげられます。睡眠は7時間程度が理想と言われています。睡眠時間が短くなるほど事故発生率が高まります。 (図1)
また、睡眠不足が続くと、疲労が蓄積し、居眠り運転や漫然運転を誘発し、信号の見落としや追突事故などを起こしかねません。
出典:米高速道路交通安全局と全米自動車協会交通安全財団の調査データから当社作成
(原因2) 眠気のリズム
人には12時間周期の眠気のリズムがあり、2~4時と14~16時(起床から8時間後)は眠気が強くなる時間帯です。また、人の生体リズムにより夜半~早朝は眠くなる時間帯です。居眠り運転での死亡事故は
これらの時間帯に多く発生しています。(図2)
なお、これらの時間帯は交通量が比較的少なくなるため、ドライバーは単調な運転になりがちです。
出典: (警察庁委託調査研究)「睡眠障害と安全運転に関する調査研究報告書」(平成19年3月)から当社作成
(原因3)道路状況
人は単調な環境のもとでは2時間ごとに眠気を感じると言われています。居眠り運転は、空いている道路や直線道路で多く発生しています。(図3)
高速道路などを長時間運転する場合は、居眠り運転に十分注意する必要があります。
出典:公益財団法人 高速道路調査会 平成27年3月「高速道路での居眠り運転防止に向けた効果的な対策に関する調査研究報告書」
2.居眠り運転の防止策
居眠り運転を防ぐには、日頃から適度な睡眠を確保することが大事です。
規則正しい生活を送ることで質の良い睡眠を取ることができます。また、睡眠不足で蓄積した疲労は、睡眠をまとめて取得しても解消しにくいと言われています。
日頃から生活のリズムを意識して、睡眠を7時間程度取得するようにしましょう。
運転中に眠気が生じた場合は、以下のような対策をお薦めします。
・仮眠(15分程度)を取得
運転中の眠気の解消には15分程度の仮眠の取得が効果的です。
仮眠が30分以上になると深い眠りに入り、逆効果になりますので注意しましょう。
・カフェイン(コーヒーなど)を摂取
カフェインには疲労回復、集中力向上、眠気抑制などの効果があると言われています。ただし、効果が現れるまでに15分程度かかります。
仮眠の前にカフェインを摂取するのもよいでしょう。
・ガムを噛むなど五感を刺激
ガムを噛むと脳の血行が良くなり、眠気を抑えられます。目薬をさす、水を飲む、ストレッチをする、声を発するなど五感を刺激することで眠気を抑えられます。
・長時間運転する場合は、こまめに休憩
長時間の運転では、2時間ごとに眠気が生じやすくなります。この生体リズムを意識して、無理をせず、こまめに休憩するようにしましょう。
3.睡眠時無呼吸症候群
眠気対策をいろいろ試しても、日中に強い眠気を感じる場合、「睡眠時無呼吸症候群」の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に気道が塞がれ、いびきや無呼吸を繰り返す症状があり、その影響で日中に強い眠気を感じ、居眠り運転が発生しやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に症状が現れるため、本人では気づきにくい病気と言われています。家族からいびきを指摘されたり、日中に強い眠気を感じるようになった場合は、早めに専門医の診断を受けるようにしましょう。
早期発見で適切に治療をすれば、症状の改善が期待できます。
【参考】
公益財団法人 国際交通安全学会のビデオアーカイブのサイト内にある以下の動画をご紹介します。
- 「睡眠時無呼吸症候群運転絵巻」
- 「睡眠時無呼吸症候群と交通事故」
https://www.iatss.or.jp/movie/
以上(2022年10月)
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画像:amanaimages