活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
雨の降る中で運転する機会が増える梅雨の季節。車の窓やサイドミラーに雨粒が付着したり、窓が曇ったりすると周囲の状況が見えにくくなることがあります。そのような中、歩行者の存在を見落としてしまうと、重大な事故を招くリスクが高まります。
今月は、視界が悪くなる雨天時の運転において、歩行者の見落としを防ぐにはどうすればよいかを考えます。
1.雨天時の事故発生傾向とその要因
統計によると、晴天時と雨天時の死亡事故件数を類型別割合で比べた場合、雨天時のほうが「人対車両」の割合が大きくなっていることがわかります。
出典:公益財団法人交通事故総合分析センター令和5年版統計データより当社作成
なぜ雨天時に「人対車両」の事故が発生しやすくなるのでしょうか。車両の走行環境と歩行者の行動特性に分けて考えると、それぞれ以下のような要因が挙げられます。
【車両の走行環境】
- 路面が濡れてスリップする
- 視界不良になる
- 特に豪雨時などは雨音で周りの音が遮られる
【歩行者の行動特性】
- 傘で視界が遮られ、車の接近に気づきにくくなる
- 水たまりを避けたり、傘を広げた歩行者どうしがすれ違ったりするとき、車道にはみ出ることがある
歩行者の行動が不安全になるのであれば、車両の運転者は歩行者をより確実に認知しなければなりません。次項では雨天時の視界不良と歩行者の見落としについて掘り下げて考えます。
2.雨天時の視界不良と歩行者の見落としについて
雨天時の直接的な視界不良要因として、フロントガラスやサイドミラーなどに付着した雨粒が挙げられます。
また眼の特性により、雨天時は以下のような見え方にも影響します。
- 暗い色の傘やレインコートが目立たなくなる(晴天時より暗いため、眼の色を感じる細胞の働きが低下し、色の違いを識別しづらくします)
- 暗い環境ではピントが合わせにくくなる
- 夜間時、ライトの光や濡れた路面による光の反射のまぶしさが視界不良につながる
これら悪条件が重なると歩行者を見落とすリスクが高まることになります。
3.雨天時の歩行者見落としを防ぐには
【良好な視界を確保する】
運行前にワイパーゴムの切れ・ひび割れを点検し、デフロスタやデフォッガ(曇り除去装置)の正常動作も確認しましょう。窓についた油膜やミラーの水垢も除去しておくとよいでしょう。
【眼の特性を理解する】
周囲が暗いときは歩行者が見えにくくなります。よく見えるようにライトを点灯しましょう。歩行者からみても、ライト点灯により車の接近に気付きやすくなります。
写真資料:Ⓒ企業開発センター 安全運転フォトニュース2018年6月号より
【雨の日の歩行者の行動に注意する】
雨天時に不安全になりがちな歩行者の行動に留意し、危険予測運転を心がけましょう。
以上(2024年6月)
sj09114
画像:amanaimages