書いてあること
- 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
- 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
- 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する
1 今回の現場と事故の状況を把握します。
今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。双方ともに、直進しようとしていたそうです。
【A車:自社車両 B車:相手方車両】
一般的に交差点で確認すべきポイントは、主に以下の5点です。
①信号の有無
②双方の道路幅
③交通規制の有無
④センターラインの有無
⑤双方の速度
その他、双方の進行方向(直進、右折、左折など)、車の損害状況や通行した時間帯なども把握しておくと、責任割合を判断する参考になります。また、最近ではドライブレコーダーを搭載した車両も多くなってきました。ドライブレコーダーの機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので、事故を録画したデータの保全も重要です。
2 今回の責任割合を、見てみましょう。
1)責任割合の決まり方は?
双方に責任が生じる事故の場合、主に加入している保険会社が窓口となって、相手保険会社と交渉します。過去の裁判例を参考に、実際の事故状況に応じて責任割合を話し合い、決定します。
2)今回の責任割合は?
過去の裁判例より、A(自社の青い車)60%:B(相手方の赤い車)40% が基本の責任割合となります。
今回は信号機や一時停止等の規制がなく、どちらの道路も同じ幅でセンターラインがありません。双方同程度のスピードで接触した場合の基本の割合です。
道路交通法では、左方優先(左側の車を優先)とすることが定められています(道路交通法36条1項1号)。そのため、左方側のB車の割合が10%程度少なくなることが一般的です。
※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。
3 事故を未然に防ぐポイントは?
交差点は建物やブロック塀などで見通しの悪い場所も多く、左右の安全を走行しながら確認するのは、難しいケースもあります。
- まずは、交差点進入時はスピードを落とす
- 次に、左右の安全が確認できる地点まで、減速しつつ進む(カーブミラーも活用)
- さらに、車や自転車が突然出てくる事も想定し、慎重に走行する
ことで、事故のリスクを軽減することができます。
車の運転は一人で行う業務のため、運転者本人が「事故を絶対に起こさない。」という意識を強くもち、事故を起こさない運転行動を自主的に行うことが重要です。
また、管理者は運転者がそのような意識をもち、日々実践できるように組織的なサポート・指導・管理を行う必要があります。
以上(2021年9月)
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本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。