書いてあること
- 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
- 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
- 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する
1 事故事例と状況を把握します。
今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、交差点でB(相手方の赤い車)と接触してしまいました。Bの進行道路には、交差点を貫通するセンターラインがあったそうです。
【A車:自社車両 B車:相手方車両】
今回のポイントは、センターラインです。
①実線(繋がっている線)か破線(点線)かどうか
②交差点の中心を貫通しているかどうか
③A側から見た時、中央線が視認できるか
などを確認します。
もしドライブレコーダーが搭載されている場合は、事故を録画したデータの保全をしておく事が重要です。ドライブレコーダーの機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので注意しましょう。
2 今回の事故事例の基本的な責任割合を見てみましょう。
1)責任割合の決まり方は?
双方に責任が生じる事故の場合、それぞれの保険会社を窓口として交渉することが一般的です。過去の裁判例の責任割合を参考に、実際の事故状況を踏まえて話し合い、決定していきます。
2)今回の責任割合は?
過去の裁判例より、A(自社の青い車)90%:B(相手方の赤い車)10% が基本の責任割合となります。
道路標示により中央線が交差点の中まで連続して設けられている(貫通している)道路は、「優先道路」として認められます。
道路交通法では、優先道路を通行している車両が見通しのきかない交差点を通行する時には徐行義務は無い(道路交通法42条1号)と定められています。しかしその場合でも、交差道路を通行する車両等に注意し、できる限り安全な速度と方法で進行する義務が求められている(道路交通法36条4項)ため、Bにも10%の責任割合が発生します。
※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。
3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントとは。
皆さんは「二段階停止」や「多段階停止」という言葉を聞いた事がありますでしょうか。
一度停止するだけではなく、安全を確認できる場所で二度、三度と停止して慎重に進んでいく運転方法です。安全確認に加えて、他の車などに自車を認知させる意味もあります。
今回のA側の注意点としては
- カーブミラー等を活用し、多段階停止をしながら慎重に進む
- 交通の往来が多い場所では無理に横断しようとせず、まずは左折し迂回してできるだけ安全なルートも検討する
ことで、事故のリスクを軽減することができます。
また優先道路のB側においても、交差点がある場合にはカーブミラー等で進入車の有無を確認しましょう。「優先道路だから大丈夫」と過信せず、前方を注視して減速するなど、構えることも大切です。
その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。
以上(2021年12月)
sj09021
本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。