書いてあること
- 主な読者:社有車の事故防止に力を入れたい経営者や運行管理責任者ならびに運転者
- 課題:交通事故の基本的な責任割合や未然防止策を知りたい
- 解決策:過去の裁判例に基づく基本的な責任割合と場所や状況に応じた事故防止策を理解する
1 事故事例と状況を把握します。
今回の事故状況はこちらです。A(自社の青い車)が、道路左側に停車しドアを開けたところ、後方より直進してきたB(相手方の赤いバイク)と接触してしまいました。
【A車:自社車両 B車:相手方バイク】
今回のポイントは「予見可能性」と「Aの危険回避措置の有無」です。
①夜間や雨天等で見えにくい状況だったかどうか
②ハザードランプ等の合図があったかどうか
③直前のドア開放だったかどうか
などを確認します。
もしドライブレコーダーが搭載されている場合は、事故を録画したデータの保全をしておく事が重要です。ドライブレコーダーの映像は責任割合を決定するうえで非常に有効ですが、機種によっては、時間経過するとデータが自動消去されるものや、走行すると上書きされてしまうものもありますので注意しましょう。
2 今回の事故事例の基本的な責任割合(過失割合)を見てみましょう。
1)責任割合の決まり方は?
双方に責任が生じる事故の場合、それぞれの保険会社を窓口として交渉することが一般的です。過去の裁判例の責任割合を参考に、実際の事故状況を踏まえて話し合い、決定していきます。
2)今回の責任割合は?
過去の裁判例より、A(自社の青い車)90%:B(相手方の赤いバイク)10% が基本の責任割合となります。
また、下記の場合は責任割合が修正されます。
①夜間の場合・・A 95%:B 5%
前方が見えづらく、日中より更にAに注意義務が発生するため5%修正
②ハザードランプが無い場合・・A 95%:B 5%
左折の方向指示器を出して停車している場合は合図ありとなり、責任割合の修正はされません。
③ドア開放を予測させる状況の場合・・A 80%:B 20%
例えばAがタクシーであり、合図を出して停止した直後かどうか、トランクが開いているかなど、降車・乗車の予測が可能か、がポイントになります。
※実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容とは異なる結果になる場合もあります。
3 今回の事故事例を未然に防ぐポイントは?
今回のA側の注意点としては、
- 後方の安全確認をしてからドアを開ける
- 停車する際はハザードランプ等を出す
- カーブの道など見通しが悪い場所や、夜間はできるだけ停車しない
ことで、事故のリスクを軽減することができます。
バイクのスピードが出ている状態で車のドアを開けて接触してしまった場合、バイク側に甚大な怪我や被害が発生することが想定されます。急いでいても、落ち着いて安全確認するように心掛けましょう。
その他、ドライブレコーダーを活用した安全運転指導や教育サービス、無料の安全運転セミナーを提供している機関もありますので、それらを利用して自動車事故防止活動をしていくのも良いでしょう。
以上(2022年4月)
sj09033
本記事で紹介している責任割合は、過去の裁判例を参考にした基本的な割合です。実際は、それぞれの事故状況に応じて個別に決定されます。そのため、記載の内容と異なる結果になる場合もあります。