活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
スマートフォンや携帯電話は、通話機能に加え、インターネット、メール、ゲーム等ができ、私達の生活に欠かすことのできない大変便利な機能を持つものになりました。
運転しながらのスマートフォンの画面注視や操作・通話などのいわゆる“ながら運転”は、画面・会話に意識が集中してしまい、周囲の危険を発見できず歩行者や他の車に衝突するなど、重大な交通事故につながり得る極めて危険な行為です。
1.携帯電話等使用による交通事故発生状況
運転中のスマートフォン画面注視など(以下、ながら運転) 、携帯電話等使用に起因する交通事故は、ながら運転に対する罰則が強化された改正道路交通法が令和元年12月に施行されたことや、広報啓発や交通指導取締り等の推進により、令和2年には大幅に減少しました。(図1)
しかし、令和3年以降、ながら運転による死亡・重傷事故件数は増加しており、令和5年には122件、全死亡事故に占める ながら運転事故の割合も1.24%と、最も多くなっています。
また、携帯電話等「使用」の場合は、「使用無し」と比較して死亡事故率※が4倍近く高くなっています。(図2)
※第1当事者が自動車(乗用車、貨物車、特殊車)の事故に占める死亡事故の割合
出典:警察庁「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html (2024.10.16閲覧)
<ながら運転の違反別事故状況の特徴>
携帯電話等の画面注視や操作時は脇見運転が多くなり、これが事故発生の人的要因となる割合は78%(非使用時に対し約4倍)を占めます。一方で通話時は漫然運転と脇見運転を合わせると56%を占めます。通話時も、前方を見ているつもりであっても注意が散漫になり、周囲の確認が不十分になる傾向があります。
出典:(公財)交通事故総合分析センター「携帯電話等の使用が要因となる事故の分析」
https://www.itarda.or.jp/presentation/18/show_lecture_file.pdf?lecture_id=95&type=file_jp (2024.10.16閲覧)
2.“ほんの一瞬”が危険を招く
スマートフォンを見たり操作したりすることは「ほんの一瞬」であっても危険です。
ドライバーが運転中に2秒間以上視界が遮られると、危険を感じるといわれています。
車は2秒間で思った以上に移動します。その間、スマートフォンの画面を見るなどして周囲の視界が遮断されると、前車、対向車、歩行者等に気づくのが遅れ、ブレーキ操作等が間に合わず、追突、衝突もしくは歩行者等をはねるリスクが高まります。
時速60kmで走行している場合、2秒間に約33m進み、そこからブレーキをかけても停止距離が44mあるため、合計で約77mも進行してしまいます。
3.ながら運転対策
ながら運転の危険性についてみてきましたが、「ほんの一瞬なら大丈夫」という気持ちを生じさせないために、“ながら運転は絶対にしない”という強い意識を常に持ち続けることが大切です。
ながら運転の危険性をいま一度認識し、安全運転を心がけましょう。
【ながらスマートフォン対策】
- 着信で注意を奪われないよう、運転前に電源を切るか、ドライブモードに設定しカバンに入れ、そのカバンを後部座席に置く
- スマートフォンを操作するときは、安全な場所に停車してから行う
- ハンズフリー通話は、会話に気を取られ通常の通話と同じ危険度合いがあり、安全不確認や漫然運転といった安全運転義務違反につながる可能性があることを十分に意識する
<職場での取り組み>
- ながら運転の撲滅に向け、油断が生じないよう、定期的に安全運転教育を行う
- 運転をしている時間帯には、ドライバーへの連絡を控えるなど社内ルールを決める
以上(2024年11月)
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画像:amanaimages