2022年4月施行の道路交通法の改正により、安全運転管理者のアルコールチェック業務が、白ナンバー事業者においても義務化されました。また、同年10月から開始とされていたアルコール検知器によるドライバーの飲酒検査の義務化は「当面の間延期」とされていましたが、本年12月1日から義務化するとの方針を明らかにしました。
本稿では、本制度の概要から、従業員が社用車で業務中に飲酒運転をした場合の企業リスクをご紹介し、さらには、義務化を機に企業が取り組むべきことの一つである就業規則の整備や従業員への明確な周知など、労務管理上の対策について解説していきます。
1 アルコールチェック義務化
これまでは運送業や旅客運送業などの、いわゆる「緑ナンバー」を対象として義務化されていたアルコール検知器でのチェックですが、「白ナンバー」の車を規定の台数以上使用する事業者も対象となりました。
社用車で従業員が飲酒運転を行った場合、道路交通法の「酒気帯び運転等の禁止違反」として、運転者だけでなく関係する対象者にも罰則が適用されることになります。また、アルコールチェックを行う安全運転管理者および副安全運転管理者の選任を怠ると50万円以下の罰金が科されることになります。
2 規程の整備と周知
企業と従業員を守るため、酒気帯びには厳格に対処すること、アルコールチェックを適切に実施していくことについては、社内規程に明確に記載しましょう。規程に盛り込むことで、従業員に対して、アルコールチェックの遂行を明確な業務指示として周知することができます。また、罰則を規定することで、飲酒運転の危険性についての意識を持ち、より確実に業務を遂行してもらうことができます。
【就業規則 規程例】
3 さいごに
まず、社内規程作成前に、①安全運転管理者の選定、②アルコールチェックの記録方法と管理体制の構築を行います。そして、前述のように就業規則へ規定するとともに、別途、アルコールチェックの実運用に関する社内規程を作成すると良いでしょう。
この法改正自体、実際の事故事案への対策としてのものとなります。まだ先のことと捉えるのではなく、更なる事故の悲劇を避け、企業や従業員を守るためと考えて、積極的に取り組みを進めていただければと思います。
※本内容は2023年6月15日時点での内容です
(監修 社会保険労務士法人 中企団総研)
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