活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

警察庁公表の「令和6年における交通事故の発生状況について」によると、全体の交通事故件数、死傷者数は昨年から減少しましたが、「30日以内死者数」や「ながら運転・飲酒運転などによる死亡・重傷事故件数」は増加するなど、重大事故の危険性が減っているとはいえません。今回はそれらの事故の特徴と対策について考えます。

交通事故の特徴と対策

1 交通事故の発生状況とその特徴

令和6年中の交通事故死傷者数は減少しました(前年比21,215人減少)。一方で「30日以内死者数」は2年連続で増加しました(図1)。

図1 交通事故死傷者数と30日以内死者数の推移

交通事故死傷者数

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」から当社作成

いわゆる「ながら運転」事故による死亡・重傷事故件数についても増加傾向が続いており、ながら運転の厳罰化(令和元年の道路交通法改正)以前の水準を超えて増加しています(図2)。

図2 自動車運転中の携帯電話等による死亡・重傷事故件数の推移

「ながら運転」事故による死亡・重傷事故件数

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」から当社作成

その他、以下のような傾向が現れていました(いずれもグラフ掲載は省略)。

  • 自転車乗用中事故の死傷者数は減少し、特に若年層に「負傷者」が、また高齢者層に「死者」が多い (昨年同様の傾向)
  • 自動車の単独事故件数では75歳以上の高齢者運転者による事故が75歳未満の約2.5倍
  • 飲酒運転による死亡事故件数は前年比25%増加

2 携帯電話等使用による交通事故の増加

携帯電話等を操作しながら運転したことによる死傷事故件数は、20~30歳代が全体の半数以上を占めます(図3)。この年齢層はいわゆる「デジタルネイティブ世代」と重なる形です。デジタル環境に慣れ親しんでいる世代の方々に対し「ながら運転」の危険性について、交通安全教育のほか、職場や同乗中の同僚の方からも注意喚起等をすることで、理解・浸透を進めることが期待されます。

図3 運転者年齢層別携帯電話等使用による死傷事故件数

死傷事故件数

出典:警察庁「令和6年における交通事故の発生状況について」から当社作成

3 自転車との事故を防ぐには

今回の警察庁資料では自転車事故にも焦点が当てられています。なかでも15~19歳の年齢層では「負傷者」が多くなっており、これに関連して自転車乗用中の「ながら運転」による事故が増加傾向にあること、その約6割を19歳以下が占めること、などの分析が報告されています。一方で65歳以上の年齢層では「死者」が多かったことに関連し、特に飲酒運転による死傷事故は50代以上が6割を占めていたことが取り上げられています。

ながら運転・飲酒運転は共に法令違反ですが、車を運転する側の立場から、自転車との事故を防止するためには、例えば以下のような対策が考えられます。

  • 法令理解が不十分な/法令遵守意識が低い自転車利用者が多いことを踏まえた危険予測運転
  • 生活道路等で見通しの悪い交差点通過時や、構内・駐車場から公道へ出る際は「構え運転」で

【構え運転(構えブレーキ)とは】

構えブレーキ

構え運転(または構えブレーキ)とは、アクセルから足を離して、足先をブレーキペダルに触れる程度に置き、いつでも踏み込める状態で前進する運転です。アクセル→ブレーキへのペダルの踏みかえ動作が省略できるので、不意の出来事に対して素早くブレーキ対応できます。

以上(2025年5月)

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画像:amanaimages