活用する機会の例

  • 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
  • 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
  • マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など

 先月号「交通信号の意味を再確認!」では信号の各色の点灯状態・点滅状態の意味や、信号機のない、または作動していない交差点における優先道路のルールについても改めて確認しました。
 今月号では、特に信号のない交差点=無信号交差点での事故について、その原因と対策を具体的な事例を基に考えます。

無信号交差点での注意点

比較的小さい交差点で発生する事故が多い

 警察庁が公開している「交通事故統計情報のオープンデータ」※1では、過去5年分の全国の交通事故発生地点や事故類型などがわかります。

 このオープンデータを分析した朝日新聞社の記事※2によると、2019~2020年に発生した人身事故のうち28万件超が交差点付近で発生し、うち6割が無信号交差点(信号機が設置されていない、または機能していない交差点)での事故であることがわかりました。

交通事故統計情報のオープンデータ

 歩行者、自転車が関連する事故の発生した無信号交差点の特徴を、車道幅や速度規制別に分類し集計したところ、「車道の幅が13メートル未満の小、中規模、かつ規制速度が時速20から40キロ以下の交差点で事故が集中していた。」とのことです。事故が「指定の速度規制なし等」の条件に分類されるケースでも、車道の幅が狭いなど小さい交差点で発生する事故が多いことが示されています。

無信号交差点の特徴

※1 警察庁, 交通事故統計情報のオープンデータ https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/opendata/index_opendata.html(2025.2.10閲覧)

※2 (株)朝日新聞社, みえない交差点 分析編 https://www.asahi.com/special/jiko-kosaten/analysis/?iref=mienaikosaten_map(2025.2.10閲覧)

※3 道幅が13m以上の道を「大」、5.5m以上13m未満を「中」、5.5m未満を「小」と分類。「大‐小」とは幅13m以上の道と5.5m未満の道が接続する交差点、の意味。

事故が多発する無信号交差点の特徴

 最近の5年間で10件以上の事故が起きた全国の無信号交差点を詳しく調べると、以下のような特徴がみられました。

■見通しが悪く左右確認しにくい

 死角をつくるもの(建物、地形、橋脚など)により左右確認が難しい交差点が目立ちます。このような場所ではカーブミラーが重要ですが、右図の例では①ミラーが遠くにあるため鏡像が見にくくなっています。また②前方道路と鋭角で交差するため、停止線を越えて交差点に進入しないと左方の直視が困難で、リスク増加の一因となりえます。

見通しが悪く左右確認しにくい

■直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 非優先道路(交差点では一時停止)でも③遠くまで見通せるような直線の道路で事故が起こりやすいようです。その背景には「ついスピードが出やすい」「朝日・西日が眩しい」等が考えられるほか、元は直線単路だった場所に④新たに道路が整備され、新しく交差点ができたケースもあり、慣れない車が単路だったときと同様の走り方をしてしまうかも知れません。

直線が続き走行中の道路の見通しが良い

 その他、五差路など複雑な形状のため危険予測が難しい交差点や、高速道・幹線道路から分岐した直後の交差点(速度感覚が速いまま差し掛かる)において事故多発の傾向があるようです。

無信号交差点での事故防止ポイント

  • 死角が多い、鋭角で交差している、複雑な形状をしている、などの特徴のある交差点では車・人・自転車の接近が分かりづらい場合があります。交差点形状を十分把握し、カーブミラーに映る限られた情報を見極め、死角に気を配りながら慎重に通過しましょう。「見切り発車」は禁物です。
  • 見通しが良い、一見安全そうな交差点でも危険予知を怠らないようにしましょう。自分が走行中の道路の優先/非優先の区別を意識しましょう。特に非優先道路側にいる場合、左右から接近する車の有無を必ず確認し、その車を妨げないよう徐行・一時停止を心がけましょう。

以上(2025年3月)

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画像:amanaimages