活用する機会の例
- 月次や週次などの定例ミーティング時の事故防止勉強会
- 毎日の朝礼や点呼の際の安全運転意識向上のためのスピーチ
- マイカー通勤者、新入社員、事故発生者への安全運転指導 など
年末年始は、忘・新年会などの宴会が多いシーズンです。改めて「飲酒運転」が悪質危険な犯罪行為であることを、ドライバーの皆さんは強く意識する必要があります。一方で、酒に酔った歩行者の想定外の行動にも注意する必要があります。そこで今月号では、酒酔い歩行者を中心に、夜間の歩行者事故防止対策について考えます。
夜間における歩行中死者数の特徴
警察庁の「令和5年における交通事故の発生状況について」によると、「65歳未満」の歩行中死者数については、「横断中」が最も多く、次いで多いのは「路上横臥※」となっています。特に路上横臥についてはその大半が夜間で、しかも「飲酒あり」が8割を超えています(図1)。
※出典:警察庁「令和5年における交通事故の発生状況について」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bunseki/nenkan/060307R05nenkan.pdf
※道路上に泥酔、居眠り等で横たわっていた時に事故が発生した類型
最新の統計として警察庁の「令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況」をみても、夜間における65歳未満の歩行中死者数で最も多いのは「路上横臥」となっており、そのうちの7割近くは「飲酒あり」でした。次に多い「横断歩道以外横断中」でも「飲酒あり」が5割を超えています(図2)。なお、これら2類型の死者数はともに前年の同時期に比べ増加しています。
※警察庁「令和6年上半期における交通死亡事故の発生状況」
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R6kamihanki_bunseki.pdf
特に路上に横たわっている人は気づきにくく、また気づけても人か物かの区別がつきにくいことがあり、通過の直前で人だとわかっても既に手遅れ、というケースもありえます。
夜間に飲食店などの多い場所やその周辺を走行するときは、歩行者への注意はもちろんですが、「酔って路上に横たわっている人がいるかもしれない」と考えるなど、路上横臥者の存在も意識する必要があります。
夜間における歩行者事故防止の要点
- 酒に酔った歩行者は、周囲の状況が把握できない、警戒心がない、歩行が不安定で急にふらつく・つまずくなど、予測できない動きをすることがあります。ライトのハイビームとロービームを適切に切り替え、早めの発見に努めましょう。また歩き方が不自然な歩行者を見つけたら、その動きに注意し、そばを通過するときはスピードを落として十分な側方間隔をとりましょう。
- 夜間は速度超過になりがちといわれています(交通の教則第6章第3節)。こまめにスピードメーターを確認し、繁華街や市街地、生活道路では特に意識してスピードを落としましょう。
- 暗い夜道、歩行者からは車のライト部分しか見えていないことが多いため、距離感や車速の判断が難しく、車が接近していても横断してしまうことがあります。歩行者をみつけたら「横断してくるかも」と予測しましょう。
コラム 生活道路における速度規制強化について
令和8年9月1日より、中央線(センターライン)などのない、いわゆる生活道路については、最高速度がすべて時速30キロに制限されます。
従来、生活道路については歩行者や自転車の安全確保のために、標識等で規制速度を設けたり「ゾーン30」の区域を設けるなどのさまざまな対策が講じられてきましたが、全国の道路にそうした対策を講じるよりも、法令により一律に制限をかけるほうが適切と判断され、法令改正に至ったものです。施行までには、まだ期間がありますが、今のうちから生活道路では時速30キロ以下で走行する習慣をつけることをお勧めします。
以上(2025年1月)
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画像:amanaimages