令和4年3月24日、近畿大学と徳島大正銀行は「産学連携包括契約」を締結しました。
産学連携・交流を円滑に推進するための組織が近畿大学リエゾンセンター(KLC)です。
「とくぎんサクセスクラブnavi」(とくさくnavi)では、KLCのコーディネーター武田和也さんへのインタビューを3回連載でお届けします。産学連携の『今』、地域企業とのつながり方や未来の可能性に迫ります。

【第2回】

第2回では、実際に企業と行われた産学連携の事例を中心に紹介します。産学連携のメリットや、とくぎんサクセスクラブ会員企業さまとのエピソードも交え、その実態に迫ります。

―近畿大学ではこれまでにどのような産学連携の取り組みがありましたか。

現在、年間で250~300程の相談事案をコーディネートしています。相談の件数はどんどん増えてきました。私は全ての相談に目を通していますが、以前は理系ネタが多かったんです。町工場から、こういう機械加工をしているけれど加工がうまくいかない、プラスチックの成型するときのプラスチックの流れ方がうまくいかない、そのような技術的な相談が多かったんです。最近では、文系ネタも増えて、自社商品を展開したい、などのビジネスの相談が多いです。デザインの相談も多くなっていますね。
近畿大学が学生を増やそうと広報にも力を入れて、その宣伝で大学の名前が知れ渡っていくにつれて、KLCへの相談の数も増えていきましたね。
ご相談をいただく地域は近畿地区が一番多く、次に関東、と続きます。海外からのご相談もあるんですよ。四国からのご相談は少ないので、今回を機にぜひ増えてほしいです。
以前は直接面談ばかりでしたが、コロナ以降はWeb面談も増えました。遠方であったり、ご都合で難しい際はwebでも対応することができます。

―大学と企業のどのような橋渡しを目指しているのですか。

なるべくお断りしないようにしています。どうしても先生がいらっしゃらない場合や、分析装置だけを貸し出してほしい、なんてご依頼の時はお断りをすることもあります。ただ、お断りするときも、その分析ならあそこの研究機関でできますよ、とご紹介したり情報をお渡しするようにしています。
ご相談を引き受けるときは、企業も大学もWIN WINになるように。また、どんぴしゃの先生でなくてもある程度情報をお渡しすることもできるので、関連の先生をご紹介するようにしていますね。

近畿大学内にあるKLCショールーム

―企業がKLCを活用することでどんなメリットがありますか。

企業内に研究部門や部署がなくても委託することができます。得意な分野を持っている先生と企業が希望しているものが合致するなら研究を依頼するのもありなんじゃないでしょうか。また、いつも同じ頭で考えていると似たような商品展開になることがありますよね。
ちょっと違うアイデアがほしい、そんな時に大学を利用してもらうのもいいと思います。学生たちのアイデアは常識に縛られていません。奇抜なアイデアになるかもしれませんが、それが社内の起爆剤になるかもしれないですね。
また、企業にとっては、近畿大学との共同研究という謳い方ができるので、そちらもメリットになるのではないでしょうか。
新潟のおせんべい屋さんからのご相談の例です。若い人たちにおせんべいを食べてもらいたいのでビジネス展開を考えてほしいとご依頼を受けました。また、おせんべい屋さんはお得感のある大きなパッケージでなければ売れないというイメージを持っていました。そこで、学生たちの鞄の中身をみせてもらい、テーブルの上に出して、どんなお菓子をもっているかの傾向を調べると、小さくてかわいいお菓子が入っていたんです。お徳用サイズを持ち歩く学生はなかなかいないので、小さくても売れるんではないかとヒントを得て、小さいパッケージの商品を開発しました。そして生まれた商品は、小さくて持ち運びしやすく、若者でも親しみやすいと好評でした。パッケージのキャラクターも学生たちの案です。

共同研究により開発された様々な商品

共同研究により、これまでに様々な商品が開発されています。次回はリエゾンセンターが描く産学連携の進め方や、企業へのメッセージをご紹介します。
近畿大学産学連携についてのご相談は、お取引のある営業店にお問合せください。または、とくぎんサクセスクラブnaviのお問合せフォームからご連絡ください。

以上(2025年6月作成)

画像:近畿大学リエゾンセンター