皆さんは自分のことを、「ツイている」と思いますか、それとも「ツイていない」と思っていますか。私は、自分が幸運に恵まれ、「持っている」人間だと思っています。正確に言うと、そう思うようにしています。

宝くじの1等が当たりでもしない限り、自分がツイていると実感できないかもしれません。ですが、「自分はツイている」と思ったほうが得だから、そう思っているのです。特に今のような逆風のときほど、「ツイている」と思っている人の価値は高まるものです。その理由は後ほど話します。

もし「世の中は思い通りにならないことばかりで、自分がツイているとは思えない」と感じている人がいたら、その人は、物事の捉え方を変えてみるべきです。例えば、コロナ禍で業績が下がって「ツイていない」と思うのは簡単です。それを、「それでも会社は存続し、仕事ができるのは運がいい」「コロナ禍で世の中が変化して、自分たちも変われるチャンスをもらった」という考えに改めてみませんか。そうすれば、「もう少し頑張ってみよう」という気持ちになりやすいでしょう。

このように、前向きになれるということが、自分が幸運だと思ったほうがいい1つ目の理由です。そして、なんとか頑張ってこの危機を乗り越えたときに、「やはり自分はツイている。自分の運を信じていれば大丈夫だ」と思えるようになれますし、そうなると、その後はもっと自分を信じて頑張れるという、好循環が生まれます。

例えば、明治から昭和初期にかけて日銀総裁や総理大臣、大蔵大臣を歴任した高橋是清は、10代前半に米国で奴隷として扱われたり、30代半ばでペルーの銀山開発などの失敗で全財産を失ったりしています。そんな不幸に見舞われた是清ですが、子供の頃から「自分は運がいい」と思い込むほど、生来の楽天家だったので、失敗をして窮地に陥っても努力できたと語っています。

自分がツイていると思ったほうがいい2つ目の理由は、自分を見失わないということです。人は何かに成功すると、「全て自分の実力だ」と有頂天になり、周囲が見えなくなってしまいがちです。「成功したのは、運が味方したからだ。油断していると風向きが変わって、今度は失敗してしまうかもしれない」と気を緩めずにいれば、その後も努力を怠ることはないでしょう。

3つ目の理由は、幸運だと思われている人の周りには、人が集まってくるということです。誰しも、「自分はツイていない」と暗い顔をしてうつむく人よりも、自信にあふれた明るい表情の人と一緒に働きたいと思うものです。日露戦争の日本海海戦でバルチック艦隊を破った東郷平八郎は、「運のいい男だから」という理由で連合艦隊の司令長官に抜てきされたといわれています。

今のような、先行きが不透明なときほど、「自分はツイている」と思っている人を心強く感じるものです。今日から、物事の捉え方を前向きに変えてみましょう。

以上(2021年2月)

pj17040
画像:Mariko Mitsuda

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