【ポイント】

  • 昔の人は、氾濫を繰り返す川の治水工事をオロチ退治に見立てたという説がある
  • 「何がなんでもやり遂げる。やり遂げなければ未来はない」という“不退転”の意志が大切
  • 精神論だけでは成功できないが、そもそも強い意志がなければ成功はあり得ない

おはようございます。2025年の干支は「巳(み)」、つまり蛇です。そこで今日は蛇にちなんだ話として、日本神話に登場するヤマタノオロチの話をしたいと思います。

ヤマタノオロチは、頭と尾が8つずつある巨大な蛇です。毎年人間の娘を食らうので人々から恐れられていましたが、神であるスサノオ(素戔嗚尊、すさのおのみこと)がこれを退治して尾を割き、三種の神器とされる「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」を得たとされています。

ヤマタノオロチ自体は架空の怪物ですが、面白いことにこの伝説にはモチーフがあります。島根県の出雲に斐伊川(ひいかわ)という川がありますが、何度も氾濫を繰り返す斐伊川とその支流をヤマタノオロチにたとえ、それらの治水工事をオロチ退治に見立てていたという説があるのです。

川の氾濫は、現代でも甚大な被害をもたらす天災です。ましてや重機なんて存在しない時代、その治水はとてつもない重労働だったことでしょう。並大抵の体力・精神力・リーダーシップでは達成できません。はっきりとしたことは分かりませんが、当時の人々は、そんな怪物のような川に立ち向かう出雲の民に強い敬意を感じ、それが転じてスサノオの伝説が生まれたのかもしれません。

仕事をしていれば、困難な業務にどうしても取り組まなければならないことがあります。私は過去にあるプロジェクトを任されたことがありますが、他のメンバーを統率しなければいけない立場なのにリーダーシップを発揮することができず、見かねた課長が指揮を執ってくださいました。

今、思うと「何かあっても、課長が助けてくれる」という甘えがあって、自分の責務から逃げていたのかもしれません。もしも課長がいなかったら、プロジェクト自体が頓挫(とんざ)していたかもしれない、私に足りなかったのは、その危機感です。出雲の民は「何がなんでもやり遂げる。やり遂げなければ未来はない」という“不退転”の意志で治水に取り組み、困難に打ち勝ちました。

精神論だけで成功できるほど世の中は甘くありませんが、そもそも強い意志がなければ成功はあり得ません。「気概」と「やり抜く」を今年の抱負に掲げ、1年間駆け抜けたいと思います。

以上(2025年1月作成)

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画像:Mariko Mitsuda