おはようございます。私が入社してからそれなりに長い年月がたちました。今もなお現場で働いていますが、年齢的には「ベテラン」の域になり、プレーヤーとしての仕事よりも、後輩の指導や他のメンバーの統率など、マネジャーとしての仕事が多くなってきました。こうした中、最近の私は「皆がのびのびと働けるように」と考え、あまり前面に出ず、あえて一歩引いた働き方を心がけてきました。ただ、マネジャーの仕事にやりがいを感じる一方、自分がプレーヤーとして一線を退いていくような感覚に、どこか寂しさと退屈さを覚えてもいたのです。
そんなときに知ったのが、プロサッカー選手のキングカズこと三浦知良(みうらかずよし)氏の「ベテランらしくないプレーをしたい」という言葉です。三浦氏は57歳になった現在も活躍を続ける、現役のサッカー選手です。2024年6月に、アトレチコ鈴鹿というクラブからのオファーを受け、横浜FCから期限付きの移籍をしましたが、その記者会見で語ったのが先ほどの言葉です。
ベテランらしくないプレーとは「果敢に攻撃していく、ドリブルで勝負していく」という意味です。ベテランらしく周囲を活かすプレーもするけど、自分が前に出るチャンスは逃さない。そんなプロとしての熱い思いと矜持(きょうじ)を感じさせる言葉でした。三浦氏がアトレチコ鈴鹿への移籍を決めたのも、他のチームよりも長時間、試合に出られる可能性があったからだそうです。
そんな三浦氏の姿勢を知り、私は「自分は勝手に一線を退いた気になっているだけではないか。プレーヤーとして活躍できるよう、もっと努力すべきではないのか」と深く反省しました。
なぜ三浦氏は、この年齢になるまで現役でいることができたのでしょうか。調べているうち、その理由に気が付きました。彼は「とにかくサッカーが好きで、試合に出たいという情熱を持ち続けている」のです。三浦氏は、熱心なサッカー一家に生まれ、3歳からW杯のビデオを観て育ち、わずか15歳でブラジルに渡りました。これほど長くサッカーを続けていながら、2020年のインタビューでは「15歳の頃と同じくらいボールを蹴るのが好きですか」という質問に対して、「はい、いつも楽しんでいます」とまっすぐに答えています。
「好きだから」というのはありきたりな理由にも聞こえますが、選手寿命が20代後半から30代前半といわれるサッカーの世界において、57歳の三浦氏が今なお活躍していることを考えれば、その情熱と努力が並大抵のものでないことは容易に想像できます。強い意志とは、こういう純粋でシンプルな気持ちにこそ宿るのかもしれません。
私は現場が好きです。もちろん、マネジャーとしての仕事もしっかり全うしますが、同時に自分がプレーヤーであるという気持ちを捨ててはいけないのだと、三浦氏の言葉から学びました。新しい現場にむしろ一歩踏み込んでいく姿勢で、私も「生涯現役」を貫きたいと思います。
以上(2024年9月作成)
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画像:Mariko Mitsuda