私が昨年課長を拝命してから、約1年が経ちました。以前は自分1人で仕事をこなすだけでよかったのが、自分以外の誰かに仕事を振って部署を回していかなければならない立場になりました。誰かに指示をする管理職の仕事には、正直いまだに慣れません。ですが、自分なりに1年間課長を務めてみて、前より少しだけ成長したと思っている点もあります。それは会社に入って初めて“機会損失”を意識するようになったという点です。
例えば、フリーランスに仕事を頼む場合がそうです。コンテンツ制作会社である当社は、フリーランスのライターに、記事の作成やリライトを業務委託で依頼しています。フリーランスには「何時から何時まで働く」という就業時間のルールはなく、各々が1日の中で働く時間を決めて自由に働きます。一方、「1カ月に何時間まで稼働できる」という枠は決まっていて、この枠をしっかり有効活用するのが私の仕事です。
当社は小さな会社ですから、仮に1カ月に20時間まで稼働できるフリーランスに、10時間分しか仕事を頼まなかったら、残り10時間分の仕事は、社員が引き受けなければいけません。本来であれば他の仕事に割けたはずの10時間を失えば、それは“機会損失”です。だから、私はフリーランスが1つの仕事を完了させたら、間髪を入れずに次の仕事を依頼し、1カ月の稼働時間の枠を目一杯使うようにしています。もちろん、相手に負担をかけすぎないよう、配慮をした上でです。
今度は社内の話になりますが、部下に仕事を任せる際も“機会損失”に気を付けます。私が初めて持った部下は新入社員で、仕事にはまだ不慣れです。もちろん、1つの仕事をこなすのには時間がかかりますし、こちらで引き取ったほうが早く終わる可能性はあります。
ですが、それをやると、私が本来、他の仕事に割けるはずだった時間を失うことになります。だから多少時間がかかっても、部下に与えた仕事は信頼して任せます。ただし、部下が何かに困っていたら、その課題を解決するための指導の時間はしっかり確保します。これは“機会損失”ではなく、部下の成長のために必要な“投資”です。
と、ここまで偉そうに言ってきましたが、実は私の管理職としての仕事には甘いところが多々あります。フリーランスとの連携や、部下への指示など自分の目の届く範囲での“機会損失”には注意していますが、そもそも目の届く範囲が狭すぎるからです。私が気づかないうちに、誰かが私をフォローしてくれて、その人の“機会損失”が発生しているというケースはたくさんあるでしょうし、他にも多くの人の時間をムダにしていないかと心配しています。
今年度の私の目標は、「社内の皆の時間を大切にすること」です。そのためには、もっと視野を広くする必要があります。ですから皆さん、私が「全然周りを見られてないよ!」と思ったら、そのときは遠慮せずに言ってくださいね。
以上(2024年6月作成)
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画像:Mariko Mitsuda